![]() T細胞依存性免疫応答を調節する方法
专利摘要:
本発明は、治療目的および研究目的のために、ATPによって媒介されるT細胞活性化のインヒビター(例えば、酸化型ATP)を用いて少なくとも1つのT細胞依存性の免疫応答を調節するための方法および組成物を提供する。1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのT細胞活性を阻害するための方法を提供し、その方法は、T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、そのT細胞活性は、活性化、増殖、分化、生存、細胞溶解活性およびサイトカイン産生からなる群から選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つのT細胞活性を阻害するための方法は、インビボにおいて行われる。 公开号:JP2011513403A 申请号:JP2010549660 申请日:2009-03-03 公开日:2011-04-28 发明作者:ファビオ グラッシ,;ウルソラ シェンク,;カミーロ リコーディ, 申请人:ファビオ グラッシ,;コンバージ バイオテック, インコーポレイテッド;ウルソラ シェンク,; IPC主号:A61K45-00
专利说明:
[0001] 背景 Tリンパ球集団は、何百万もの細胞を含んでおり、それらの各々は、細胞表面に独特のレセプター(TCR,T細胞レセプター)を発現している。この異質性によって、異なるT細胞が様々な病原体由来抗原を特異的に認識することが可能になる。自己寛容の誘導によって、自己抗原の認識が回避される。しかしながら、病理学的状態における自己抗原の認識は、自己免疫および自滅的な炎症性障害に導く。Tリンパ球依存性の炎症性障害としては、例えば、喘息、アレルギー、関節リウマチ、乾癬性関節炎、関節炎、内毒素血症、I型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片対宿主病、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性障害、強皮症、シェーグレン症候群、エルドハイム・チェスター症候群、クローン病症候群、高安動脈炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、ヴェルルホフ特発性血小板減少症候群(Werlhof’s idiopathic thrombopenic syndrome)および皮膚科学的状態(例えば、乾癬、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、白斑、薬物関連皮疹、接触過敏症、エリテマトーデス、痘瘡状苔癬状粃糠疹、慢性苔癬状粃糠疹、湿疹および扁平苔癬)が挙げられる。] [0002] T細胞の活性化は、カルシウムシグナル伝達に依存する。サイトゾルのカルシウム増加は、獲得免疫応答の制御における重要な手がかりである。B細胞レセプターまたはT細胞レセプターの引き金が引かれることによって、カルシウム(Ca2+)がERから放出され、そしてこれにより、原形質膜におけるCa2+放出関連(CRAC)チャネルの開口が活性化されて、容量性カルシウム流入(CCE)がもたらされる(非特許文献1)。ホスファターゼであるカルシニューリン(転写因子NFATを脱リン酸化し、その核移行を決定する)の活性化は、T細胞活性化の成功に欠かせないCa2+依存性事象の例を構成する(非特許文献2)。] [0003] サイトゾルのCa2+の増加は、活発なミトコンドリアのCa2+取り込みと平行する。ミトコンドリアは、大容量のCa2+シンク(sink)として機能し、これは、細胞のCa2+過負荷を回避するように助け、さらに、空間的に限定された領域内のCa2+の迅速な清掃化に寄与する。ミトコンドリアの後者の機能は、Ca2+感受性タンパク質の活性を決定的に調節する。例えば、ER上のIP3レセプター付近におけるミトコンドリアのCa2+緩衝作用は、CRAC活性化にとって十分なIP3の動的範囲を増加させると示された(非特許文献3)一方で、CRACチャネル付近におけるCa2+緩衝作用は、そのチャネルのCa2+依存性の不活性化の速度を低下させる(非特許文献4;非特許文献5)。最終的には、ミトコンドリアのCa2+取り込みは、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼおよびイソクエン酸デヒドロゲナーゼの活性化を介して、アデノシン三リン酸(ATP)の好気性合成を刺激する(非特許文献6;非特許文献7)。このATPのCa2+依存性の生成は、刺激された細胞のより多いエネルギー需要を賄うが、ATPによって制御される他のプロセスも調節し得る。] [0004] 実際に、ATPは、遍在性の細胞外メッセンジャーでもあり(Burnstock,TrendsPharmacol Sci 27:166−176(2006));Burnstock,Novartis Found Symp 276:26−48;discussion 48−57,275−281(2006))、ATPは、分泌小胞のエキソサイトーシスによって、またはギャップ結合ヘミチャネルを通じて、細胞外の空間に放出され得る(Cocoら、JBC 278:1354−1362(2003);Cotrinaら、PNAS 95:15735−15740(1998);Baoら、FEBSLetters 572:65−68(2004))。ATPは、様々な組み合わせで実質的にすべての細胞によって発現される、P2レセプターと呼ばれる、細胞外ヌクレオチドに対する原形質膜レセプターを活性化する(Burnstock,Novartis Found Symp 276:26−48;discussion 48−57,275−281(2006))。P2レセプターは、P2XおよびP2Yレセプターと呼ばれる2つのサブグループに分類される。P2X1〜7レセプターのすべてが、ATPに結合し、しばしば迅速に脱感作する非選択的なイオンチャネルに通ずる。P2Y1、2、4、6、11〜14レセプターは、ADP、UDP、UTPまたはUDP−グルコースに優先的に結合し、それらは、Gタンパク質共役レセプターのファミリーに属するものであり、そしてそれらの活性化は、CCEに関係がある。] [0005] リンパ球上、特にT細胞上のP2レセプターの活性化が、TCR刺激の結果に重大に寄与するという証拠がますます増えている(Scrivens and Dickenson,Br J Pharmacol 146:435−444(2005);Baricordiら、Blood 87:682−690(1996);Loomisら、J Biol Chem 278:4590−4596(2003))。ATPは、エクトアピラーゼ(CD39)およびエクト−5’−ヌクレオチダーゼ(CD73)の組み合わされた作用によってアデノシンに容易に分解されるので、細胞外の環境におけるATPの半減期は、かなり短い(Yegutkinら、Biochem J 367:121−128(2002))。興味深いことに、Treg細胞は、これらの表面酵素活性の作用によってT細胞の抑制を媒介することが示されている(Deaglioら、J Exp Med 204:1257−1265(2007);Borsellinoら、Blood 110(4):1225−1232(2007))。免疫応答中のATPの制御的な役割についてのこれらの新たな証拠にもかかわらず、その供給源は、はっきりと同定されていない。機械的な刺激からと同様に、瀕死の細胞または損傷を受けた血小板からのATP放出が、提唱されている(Cotrinaら、PNAS 95:15735−15740(1998);Baoら、FEBSLetters 572:65−68(2004))。] [0006] 本発明者らは、最近、免疫不全マウスを、カルレティキュリン(CRT)欠損胚の胎児肝由来の造血前駆細胞で再構成した実験モデルを報告した。CRTは、シャペロンタンパク質であって、ERにおける最も重要なCa2+緩衝物であり(Ellgaard and Helenius,Nat Rev Mol Cell Biol 4:181−191(2003));ノックアウトマウスにおけるその欠失は、妊娠12〜13日目に致死性となる(Mesaeliら、J Cell Biol 144:857−868(1999))。CRTに結合しているCa2+のER中の量は、細胞運命に劇的に影響を及ぼし得、例えば、CRTの過剰発現は、アポトーシスの刺激に対する高い感受性をもたらす(Pintonら、EMBO J 20:2690−2701(2001))のに対し、CRT欠損細胞は、アポトーシスに対してより抵抗性である(Nakamuraら、J Cell Biol 150:731−740(2000))。Crt−/−T細胞は、抗原性の刺激に対して過反応性であり、この混乱したT細胞反応性は、crt−/−胎児肝キメラ(FLC)におけるいくつかの局面において、移植片対宿主病の表現型を模倣する重篤な免疫病理学的状態を決定する。この重篤な免疫病理学的状態は、MAPK経路の長期の活性化およびNFAT1の長期の核局在化によるTCRトリガリングに対する振動したCa2+反応によって促進される(Porcelliniら、J Exp Med 203:461−471(2006))。] [0007] 本発明者らは、本明細書中で、crt−/−T細胞が、CCEにおけるミトコンドリアの高いCa2+緩衝作用(これによって、より速い速度のATP合成がもたらされる)によって特徴づけられることを示す。活性化中のT細胞からのATPの放出は、MAPK活性化によるP2Xレセプターのオートクライン活性化をもたらす。これは、増殖性T細胞の活性化および増大に対する必須の共刺激因子に相当する。本発明者らは、活性によって誘導されるATPの合成および放出が、T細胞依存性の炎症の結果において決定的な役割を果たし、そしてT細胞免疫抑制に対して可能性のある薬理学的標的になることを示す。] [0008] P2Xレセプターの活性化は、酸化型ATP(oATP)などのATPアンタゴニストによって阻害される。それゆえ、oATPは、炎症および組織破壊に関係する免疫系の様々な細胞、例えば、T細胞に対するATPの炎症促進性作用に拮抗することによって抗炎症性効果を発揮することができる。] [0009] 本発明者らは、本明細書中で、oATPが、抗CD3および照射された同系の脾細胞と併せて、高発現レベルのFoxp3を有する制御性T細胞(Treg細胞)に対する偏りを誘導することも示す。Treg細胞は、エフェクターT細胞の増殖およびサイトカインの産生を能動的に抑制し、エフェクターT細胞における非反応性の状態の発生とは異なるT細胞寛容の機序(T細胞アネルギー)をもたらす。Treg細胞の抑制性の活性は、抗原特異的または抗原非特異的であり得る。少ない数のTregとともにCD4+ナイーブ細胞によって誘導される炎症性腸疾患(IBD)において、oATPによる処置は、TregにおけるFoxp3発現を著しく増加させ、腸における免疫病理学を完全に妨げた。Tregは、マスト細胞の脱顆粒を阻害することが示されており(Griら、Immunity 29:771−781(2008))、ゆえに、マスト細胞の脱顆粒に関連する状態(例えば、喘息、アレルギーおよびアナフィラキシーショック)に関わる免疫応答を抑制する際に役割を果たすことができる。T細胞寛容を確立し、維持する際のTreg細胞の重要性は、治療的な目的、例えば、Treg細胞の養子療法のために、Treg細胞をインビトロにおいて増大するための方法への大きな関心を抱かせた。増大したTreg細胞の注入を用いることにより、例えば、免疫応答を調節すること;細胞、組織および臓器移植に対して寛容を誘導すること;ならびに自己免疫性状態を処置することができる。しかしながら、そのような臨床適用は、エフェクター細胞、例えば、Foxp3+選抜から出現し得るTh17細胞が著しく混入することなく、Treg亜集団を首尾よく増大するという難題によって遅れている。そのような混入細胞は、Treg細胞よりも速く成長し得る。さらに、Treg細胞は、インビトロにおける反復性の刺激の後、抑制性の活性を失うことがある。これらの理由のために、適切な細胞生成物を用いてTreg細胞の分化および/または増大を始めること、ならびにインビトロにおいて混入細胞よりもTreg細胞の産生および増大を選択的に支持することが重大である。本発明者らは、本明細書中で、oATPでの処置が、RORγT発現によってスコア付けされるとき、インビトロにおいてTreg細胞がTh17系列に変換するのを阻害したことを示す。] [0010] 上に記載されたように、本発明者らは、活性化されたときに、活性化されたT細胞によってATPが放出されること、および分泌されたATPが、長期のT細胞活性化に対して、オートクラインならびにパラクリン刺激として作用するT細胞表面上のレセプターと相互作用することを発見した。oATPによるこの相互作用の遮断は、抗原遭遇時にT細胞活性化の失敗をもたらし、また、T細胞の「不応答」の状態をもたらし、最終的に組織破壊を減少させる。さらに、上に記載されたように、本発明者らは、oATPを含む組成物を用いることにより、免疫抑制性のTreg細胞の分化と著しい増大の両方を誘導すること、そのTreg細胞の表現型を維持すること、およびTreg細胞の免疫抑制性の活性を増強することができること(これらもまた、組織破壊を減少させる)を発見した。それゆえ、oATPによる処置は、T細胞媒介性の拒絶を回避するために臓器移植前、臓器移植中または臓器移植後に、および骨髄移植前、骨髄移植中または骨髄移植後にT細胞媒介性移植片対宿主病に苦しんでいる患者において、有益であり得る。] [0011] したがって、T細胞を、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質(例えば、ATPによって媒介されるT細胞の活性化を阻害する作用物質、ならびに/またはTreg細胞の分化および増大を誘導する作用物質;例えば、oATP、PX10ペプチドもしくはカルベノキソロン)と接触させることによって免疫状態または炎症状態を処置することが、本発明の目的である。そのような効果は、例えば、免疫寛容、自己免疫、免疫抑制および免疫療法に関係する処置において、複数の治療的な応用法を有し得る。] 先行技術 [0012] PutneyおよびBird,Cell(1993)75:199−201 Goldsmith and Weiss,Science(1988)240:1029−1031 Gilabertら、EMBO J(2001)20:2672−2679 Hothら、Proc Natl Acad Sci USA 97:10607−10612 Hothら、J Cell Biol(1997)137:633−648 Jouavilleら、Proc Natl Acad Sci USA(1999)96:13807−13812 Hajnoczkyら、Cell(1995)82:415−424] 課題を解決するための手段 [0013] 発明の要旨 本発明は、1つ以上のT細胞依存性の免疫応答を調節するための方法において具体化され得る。] [0014] 1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのT細胞活性を阻害するための方法を提供し、その方法は、T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、そのT細胞活性は、活性化、増殖、分化、生存、細胞溶解活性およびサイトカイン産生からなる群から選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つのT細胞活性を阻害するための方法は、インビボにおいて行われる。] [0015] 1つの実施形態において、ATPによって媒介されるT細胞の活性化を阻害する前記作用物質は、P2Xレセプターアンタゴニスト、例えば、P2X7レセプターアンタゴニストである。好ましい実施形態において、前記作用物質は、oATPである。別の実施形態において、前記作用物質は、パネキシン(pannexin)ヘミチャネルの透過性を阻害する作用物質である。好ましい実施形態において、前記作用物質は、PX10ペプチド(配列番号1)またはカルベノキソロンである。] [0016] 本発明は、T細胞アネルギーを誘導するための方法も提供し、その方法は、T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化のインヒビターと接触させる工程を包含する。好ましい実施形態において、T細胞アネルギーを誘導するための方法は、インビボにおいて行われる。1つの実施形態において、ATPによって媒介されるT細胞の活性化を阻害する前記作用物質は、P2Xレセプターアンタゴニスト、例えば、T細胞P2X7レセプターアンタゴニストである。好ましい実施形態において、前記作用物質は、oATPである。別の実施形態において、前記作用物質は、パネキシンヘミチャネルの透過性を阻害する作用物質である。好ましい実施形態において、前記作用物質は、PX10ペプチド(配列番号1)またはカルベノキソロンである。] [0017] 1つの実施形態において、接触されるT細胞は、IL−17分泌T細胞(すなわち、TH17細胞)である。] [0018] 別の実施形態において、本発明は、Treg細胞の分化および/または増大を誘導するための方法を提供し、その方法は、Treg細胞を、Treg細胞の分化および/または増大を誘導する作用物質と接触させる工程を包含する。好ましい実施形態において、その方法は、インビトロにおいて行われる。例示的な実施形態において、その作用物質は、oATPを含む組成物である。その組成物は、好ましくは、(1)T細胞の一次刺激物質(T cell primary stimulator);および(2)細胞成分または可溶性メディエーターも含む。] [0019] 別の実施形態において、本発明は、Treg細胞を非Treg細胞に変換することを阻害するための方法を提供し、その方法は、Treg細胞を、Treg細胞を非Treg細胞に変換することを阻害する作用物質と接触させる工程を包含する。その非Treg細胞は、病原性T細胞、例えば、Th17細胞であり得る。好ましい実施形態において、その作用物質は、oATPを含む組成物である。その方法は、例えば、インビトロまたはインビボにおいて行われ得る。] [0020] 別の実施形態において、本発明は、非Treg細胞をTreg細胞に変換するための方法を提供し、その方法は、非Treg細胞を、非Treg細胞をTreg細胞に変換することを増強する作用物質と接触させる工程を包含する。その非Treg細胞は、ナイーブT細胞または病原性T細胞、例えば、Th17細胞であり得る。好ましい実施形態において、その作用物質は、oATPを含む組成物である。その方法は、例えば、インビトロまたはインビボにおいて行われ得る。] [0021] 別の実施形態において、本発明は、Treg細胞を、Treg細胞活性を増強する作用物質と接触することによって、Treg細胞活性、例えば、免疫抑制性の活性を増強するための方法を提供する。好ましい実施形態において、その作用物質は、oATPを含む組成物である。その方法は、例えば、インビトロまたはインビボにおいて行われ得る。] [0022] 本発明は、細胞死または組織損傷を処置するための方法においても具体化され得、その方法は、T細胞を、1つ以上のT細胞依存性の免疫応答を調節する作用物質と接触させる工程を包含する。1つの実施形態において、その方法は:(1)T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程;(2)Treg細胞を、非Treg細胞への変換を阻害する作用物質および/またはその免疫抑制性の活性を増強する作用物質と接触させる工程、;ならびに(3)Treg細胞を、その分化および/または増大を誘導する作用物質と接触させる工程の1つ以上を包含し得る。好ましい実施形態において、工程(1)は、インビボにおいて行われる。好ましい実施形態において、工程(3)は、インビトロにおいて行われ、その後、分化したおよび/または増大したTreg細胞のインビボ投与が行われる。好ましい実施形態において、その作用物質または組成物は、oATPを含む。] [0023] 本発明は、自己免疫性状態または炎症状態を処置するための方法においても具体化され得、その方法は、T細胞を、少なくとも1つのT細胞依存性の免疫応答を調節する作用物質と接触させる工程を包含する。1つの実施形態において、その方法は:(1)T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程;(2)Treg細胞を、非Treg細胞へのその変換を阻害する作用物質および/またはその免疫抑制性の活性を増強する作用物質と接触させる工程;ならびに(3)Treg細胞を、その分化および/または増大を誘導する作用物質と接触させる工程の1つ以上を包含し得る。好ましい実施形態において、工程(1)は、インビボにおいて行われる。好ましい実施形態において、工程(3)は、インビトロにおいて行われ、その後、分化したおよび/または増大したTreg細胞のインビボ投与が行われる。好ましい実施形態において、その作用物質は、oATPを含む。1つの実施形態において、前記自己免疫性状態または炎症状態は、獲得免疫系の自己免疫性状態または炎症状態、例えば、Tリンパ球依存性の炎症状態である。好ましい実施形態において、前記Tリンパ球依存性の炎症状態は、例えば、喘息、アレルギー、関節リウマチ、乾癬性関節炎、関節炎、内毒素血症、I型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片対宿主病、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性障害、強皮症、シェーグレン症候群、エルドハイム・チェスター症候群、クローン病症候群、高安動脈炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血およびヴェルルホフ特発性血小板減少症候群に関連する。別の好ましい実施形態において、Tリンパ球依存性の炎症状態は、皮膚科学的状態、例えば、乾癬、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、白斑、薬物関連皮疹、接触過敏症、エリテマトーデス、痘瘡状苔癬状粃糠疹、慢性苔癬状粃糠疹、湿疹および扁平苔癬に関連する。] [0024] 好ましい実施形態において、本発明は、インビボにおいて被験体における免疫状態または炎症状態を処置する方法を具体化する。その方法は、例えば、(1)ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質;(2)少なくとも1つのTreg細胞の活性、例えば、Treg細胞の分化および/もしくは増大またはTreg細胞の免疫抑制性の活性を調節する作用物質;ならびに(3)インビトロにおいて、本発明の作用物質と接触することによって分化したおよび/または増大したTreg細胞、のうちの少なくとも1つをインビボにおいて被験体に投与する工程を包含し得る。好ましい実施形態において、工程(1)および/または工程(2)の作用物質は、oATPを含む。] [0025] 1つの実施形態において、少なくとも1つのT細胞依存性の免疫応答を調節する作用物質(例えば、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質および/または少なくとも1つのTreg細胞の活性を調節する作用物質)は、ナノカプセルの中に封入されることにより、例えば、ナノ粒子が形成される。別の実施形態では、本発明の作用物質と接触することによって分化したおよび/または増大したTreg細胞が、ナノカプセルの中に封入されることにより、例えば、ナノ粒子が形成される。1つの実施形態において、そのナノ粒子は、特定の細胞または組織に対して標的化される。好ましい実施形態において、そのナノ粒子は、インビボにおいて特定の細胞または組織に対して標的化される。] [0026] 本発明は、T細胞依存性の免疫応答を調節する作用物質を、それを必要とする被験体に投与する方法も提供する。1つの実施形態において、その作用物質は、結節内に投与される。別の実施形態では、その作用物質は、局所的に投与される。別の実施形態では、その作用物質は、静脈内に、または注射によって投与される。] [0027] 本発明は、本発明の作用物質による分化および/または増大の誘導によって産生されたTreg細胞を投与することによって、被験体においてT細胞依存性の免疫応答(例えば、自己免疫障害またはアレルギー)を調節する方法も提供する。その方法は、(a)ナイーブT細胞(例えば、ナイーブCD4+T細胞)の集団を被験体から得る工程;(b)分化および増大によって、そのナイーブT細胞からTreg細胞を産生させる工程;および(c)産生されたTreg細胞を被験体に導入することにより、その被験体においてT細胞依存性の免疫応答を調節する、例えば、抑制する工程を包含する。] [0028] 本発明のこれらおよび他の目的および利点は、添付の図面と併せて以下の本発明のより詳細な説明を考察することによって、より完全に理解され、認識されるだろう。] 図面の簡単な説明 [0029] 図1:crt−/−T細胞におけるミトコンドリアの高いCa2+緩衝作用。a)タプシガルジン(tapsigargin)を用いてERにおけるCa2+を枯渇させた後、細胞外の培地に0.5mM Ca2+を加えることによってcrt−/−およびcrt+/+T細胞クローンにおいてCCEを誘導した(実施例1参照)。細胞外のCa2+を完全に洗浄した後、イオノマイシンを加えることによって、ミトコンドリアのCa2+緩衝作用を可視化した。b)crt−/−およびcrt+/+T細胞クローンにおける0.5、1および2mMの細胞外Ca2+を用いたCCE後のミトコンドリアのCa2+含有量を表しているヒストグラム。c)crt−/−T細胞におけるミトコンドリアの高いCa2+緩衝作用は、CRAC不活性化を遅延させる。細胞をタプシガルジンで処理した後、細胞外の培地にCa2+を2回、別々に加えた(実施例1参照)(図2Cもまた参照のこと)。Ca2+を加えた1回目および2回目におけるサイトゾルのCa2+濃度の上昇速度を計算した。crt+/+においては、明らかな減少が観察されたが、crt−/−T細胞では観察されなかった。d)ミトコンドリア脱共役剤(CCCP)の存在下において同じ実験を繰り返したところ、CRACの不活性化は、crt+/+T細胞とcrt−/−T細胞との間で類似していた(*,P<0.05、**,P<0.001、***,P<0.0001)。 図2:crt−/−T細胞内の、ERにおける低いCa2+、変化しないミトコンドリアの膜電位および低いCRAC不活性化。a)Fura−2が負荷されたDO11.10TCRトランスジェニックT細胞クローンのERのCa2+含有量を、Ca2+を欠いている培地にSERCAポンプインヒビターのタプシガルジンを加えることによって、評価した(実施例1参照)。ERからサイトゾルへのCa2+の受動的な漏出が、サイトゾルのCa2+濃度のゆっくりとした一過性の上昇として見られる。crt−/−T細胞は、曲線下面積として計算されるとき、crt+/+細胞と比べて少ないERのCa2+含有量を有する。b)crt−/−およびcrt+/+FLCから単離され選別されたナイーブおよびエフェクター/記憶(CD44+CD62L−)CD4細胞のTMRM染色は、CRT欠失がミトコンドリア膜電位を改変しないことを示している。c)CRAC不活性化をスコア付けするために、T細胞にFura−2を負荷し、ポリ−L−リジンでコーティングされたカバーガラスの上にプレーティングした(実施例1参照)。Ca2+を欠いている培地中にタプシガルジンを加えることによって、ERのカルシウム貯蔵を枯渇させた。完全にER貯蔵を枯渇させた後、100秒間にわたってCa2+を2回加えた。両方のCa2+添加によって、CRACを通るCa2+の流入がもたらされる。これらのチャネルは、Ca2+によって不活性化されるので、2回目のCa2+上昇は、より遅い速度および振幅を有する。Crt−/−細胞は、低いCRAC不活性化を示した。 図3:T細胞活性化中のミトコンドリアのCa2+取り込みは、ATPの合成および放出をもたらす。a)選別されたcrt−/−およびcrt+/+ナイーブCD4+T細胞においてCD3抗体を用いてT細胞を活性化した後の異なる時間におけるATP合成(実施例2参照)。b)ATP合成酵素インヒビターのオリゴマイシンの非存在下(コントロール)または存在下におけるT細胞活性化時におけるATP産生。c)プレートに結合したCD3抗体およびCD28抗体による活性化の38時間後の、選別されたナイーブCD4crt−/−およびcrt+/+T細胞の表面上におけるCD62L発現のFACSプロファイル。oATPの存在下において同じ実験を行った。d)ナイーブCD4+T細胞を、ヌクレオチド結合化合物のキナクリンで染色した(実施例2参照)。均質なサイトゾルの染色から、ATPを含む分泌小胞が存在しないことが示唆される。e)連続的なスクロース勾配における、刺激されていないおよび活性化されたナイーブT細胞の細胞成分分画(実施例2参照)。ATPは、サイトゾルタンパク質Zap−70も含む画分にだけ検出され、小さい小胞のマーカーのセルブレビン(cellubrevin)を特徴とする画分中では検出されなかった。 図4:DO11.10TCRトランスジェニックT細胞クローンにおける選択的アゴニストによるP2レセプターの転写およびCa2+応答。a)P2レセプターについてのRT−PCRは、P2X1、4、7が、T細胞クローンにおいてP2Y1、12、13、14とともに同時発現されることを示している(実施例3参照)。b)通常の培地(1つ目のパネル)またはCa2+を欠いている培地(2つ目のパネル)におけるCa2+イメージング実験から、CD4T細胞クローン上におけるイオンチャンネル型と代謝型(metabotrobic)のP2レセプターの両方の存在が確認される。c)P2Xレセプター(αβMeATP:P2X1、MeSATP:すべてのP2X、BzATP:P2X7)に対する優先的なアゴニストが、それらのレセプターの機能上の適格性をより詳細に確認される。d)優先的なアゴニストに対する応答によって示されるように、機能的なP2Yレセプターが、T細胞クローン上に存在している(MeSADP:P2Y1、12、13およびUDP−グルコース:P2Y14)。 図5:TCR刺激後の長期のMAPK活性化における細胞周囲ATPの役割。a)OVA特異的crt−/−T細胞クローンをビオチン化CD3抗体で刺激した後、アビジンで架橋した(実施例3参照)。刺激の30分後、細胞を無処理のままにするか(左から1つ目のパネル)、あるいはsrc様キナーゼインヒビターPP2の単独(2つ目のパネル)またはoATPと併用(3つ目のパネル)もしくはARLと併用(4つ目のパネル)で処理した。PP2は、Zap−70の脱リン酸化(dephosporylation)によって示されるようにTCRシグナル伝達を効率的に阻害したのに対し、長期のErk活性化は、それほど影響されなかった。PP2とoATPとの併用によって、Erkリン酸化がほぼ完全に無効になったのに対し、PP2とエクトヌクレアーゼインヒビターARLとの併用は、遅い時点においてErk活性化を増加させた。b)crt−/−T細胞クローンを、架橋されたCD3抗体で16時間にわたって刺激した(実施例3参照)。左から1つ目のパネルは、p38MAPKおよびErkの特徴的な長期のリン酸化を示している。これらの長期の活性化は、ミトコンドリアのATP合成のインヒビターとしてのオリゴマイシンによって、ならびに2つのP2レセプターアンタゴニストのoATPおよびPPADSによって、無効になった。 図6:P2レセプターの薬理学的阻害は、T細胞の増殖ならびにIL−2の分泌を損ない、アネルギーをもたらす。a)oATPの非存在下(上のパネル)または存在下(下のパネル)において、プレートに結合したCD3およびCD28で刺激された、選別されたナイーブCD4+細胞における(方法の項参照)CFSE蛍光の低下を示しているFACSプロファイル(実施例4参照)。IL−2(中央パネル)またはPMA(右パネル)の存在下における同じ実験が示されている。指定の時間における取得において検出可能なマーカーを有する細胞(増殖中の細胞)の数が記載されている。b)oATPまたはPPADSの存在下において、プレートに結合したCD3抗体およびCD28抗体で48時間にわたって刺激されたナイーブCD4+細胞の培養上清におけるELISAによって測定されたIL−2濃度を示している代表的な実験。灰色のバーは、PMAがサンプルに加えられたときに得られたIL−2濃度を表している。c)oATPの非存在下または存在下において、選別されたナイーブCD4+細胞を、プレートに結合したCD3抗体およびCD28抗体で刺激した2および16時間後のリアルタイムRT−PCRによるEgr2およびEgr3転写物の定量化(実施例4参照)。*,P<0.05d)イオノマイシン、CD3抗体およびCD28抗体のみとともに、またはoATPもしくはoATPおよびPMAと組み合わせて16時間プレインキュベートされたOVA特異的T細胞クローンのCD3刺激後のサイトゾルのCa2+プロファイル(実施例4参照)。 図7:oATP処置によるINS−HAトランスジェニックRAG−2−/−マウスにおける糖尿病の防止。a)TCR6.5抗HAトランスジェニックCD4+T細胞の養子移入後の12日目にラットインスリンプロモーターの支配下においてHAを発現しているRAG−2−/−マウスにおける血糖値(実施例5参照)。マウスを無処置のままにするか、または移入後の1〜10日目に、PBSもしくはoATPの2用量を静脈内および腹腔内に毎日、注射した。b)ヘマトキシリン(hematoxilin)−エオシン染色された切片(100×)の組織病理学検査は、PBS処置マウス由来の膵臓において重篤な破壊的な膵島炎を示しているのに対し、oATP処置動物由来の膵臓では、関連性のある病理所見は観察されなかった。cおよびd)PBSおよびoATPで処置された動物の脾臓c)および膵臓d)から回収されたトランスジェニックTCR6.5+細胞の数を表すヒストグラム。右側のヒストグラムは、記載されているマウスの膵臓から回収されたCD69+TCR6.5+細胞のパーセンテージを表している。n.d.,検出不能。e)PBSおよびoATPで処置されたマウス由来の脾細胞を、インビトロにおいて、HAペプチドで刺激し、記載されているサイトカインを細胞数測定ビーズアレイによって測定した(実施例5参照)。ヒストグラムは、104個のTCR6.5+細胞あたりのpg/mlとして表されている上清中のTNF−α、IFN−γおよびIL−6の濃度を示している(平均±SD、n=5)*,P<0.05、**,P<0.001、***,P<0.0001。 図8:oATP処置による炎症性腸疾患の回復。a)CD4+/CD25+細胞およびCD4+細胞を養子移入されたcd3ε−/−マウス由来の代表的な腸間膜リンパ節、脾臓および結腸の写真(実施例5参照)。下のパネルは、CD4細胞で再構成され、oATPで処置されたマウス由来の器官を示している。バー=1cmb)記載されているとおり処置された動物における炎症スコアを表しているヒストグラム(方法の項参照)(平均値±SD;n=5、CD4+/25+健常コントロール群;n=7、CD4+無処置群;n=8、CD4+oATP処置群)。c)記載されている動物由来の結腸切片のヘマトキシリン/エオシン(上のパネル)およびAlcian/PAS(下のパネル)染色(四角内のすべての顕微鏡写真が、同じ倍率で撮影されたものである;スケールバー=50μm)。CD4+/CD25+細胞で再構成されたマウスでは、炎症の変化は明らかではなく、容積の大きいAlcian−PAS陽性液滴を有する多数の杯細胞が、結腸陰窩を裏打ちしている(矢頭);CD4+細胞を養子移入され、oATPを注射されたマウスでは、固有層が、炎症細胞浸潤物によって限局的に拡大し(矢印)、結腸陰窩の上皮は、中程度の過形成を示している。部分的な杯細胞の枯渇およびAlcian−PAS陽性液滴のサイズの減少もまた、注目に値する(矢頭);CD4細胞で再構成され、PBSで処置されたマウスでは、陰窩膿瘍(crypt abscessation)の限局的な所見とともに、固有層が炎症細胞浸潤によって著しく拡大した(矢印)。杯細胞がほぼ完全に喪失していて、結腸陰窩もまた激しく形成異常である。d)記載されている動物の腸間膜リンパ節および脾臓からの細胞の回収率。e)記載されているマウス由来の腸間膜リンパ節におけるIL−2、TNFα、IFNγおよびIL−17を産生するCD4+T細胞の絶対数(平均値±SD;n=5、CD4+/25+健常群;n=7、CD4+無処置群;n=8、CD4+oATP処置群)。*,P<0.05、**,P<0.001、***,P<0.0001f)記載されている群の動物の腸間膜リンパ節および脾臓から回収されたCD44+CD62L−エフェクター/記憶細胞およびCD69+CD4細胞の絶対数(バーは、平均値を表している)。 図9:パネキシンヘミチャネル構築の阻害は、T細胞の活性化および増殖を阻害する。a)CFSEを負荷されたヒトT細胞を、プレートに結合した抗CD3/28抗体で刺激し、FACS解析によって増殖を測定した(実施例6参照)。パネキシン遮断ペプチドPX10が、oATPに匹敵するほどT細胞増殖を阻害したことに注意すること。b)CD3+/28+で刺激されたマウスT細胞から培地中へのIL−2分泌は、PX10とoATPの両方によって強く阻害された。 図10:パネキシン遮断ペプチドPX10は、TCRトリガリングにおいて細胞内ATP濃度を増加させる。TCRトリガリング中のパネキシン遮断ペプチドPX10の存在は、細胞内ATP濃度を増加させることから(実施例6参照)、パネキシンヘミチャネルが、T細胞活性化の間のATP分泌にとって重要な経路であることが示唆される。 図11:oATPは、Treg細胞の分化および増大を誘導する。a)oATPの存在下におけるナイーブCD4+T細胞の刺激は、CD4+CD25highFoxp3+Treg細胞のパーセンテージを有意に増加させた。b)oATPの存在下における、天然Treg細胞を含む選別されたCD4+CD25high細胞の刺激は、より高いFoxp3の発現レベルを有するTreg細胞の増大を誘導した。c)抗CD3刺激後の最初の6日間の定量的RT−PCRによるTh1(T−bet)、Th17(RORγT)およびTreg(Foxp3)系列についての主要な転写因子の解析から、無処理培養物におけるT−betの漸進的なアップレギュレーションとは対照的に、oATPの存在下におけるFoxp3の漸進的なアップレギュレーションが明らかになった。 図12:oATP処置は、Th17分化を阻害し、Foxp3発現を促進する。a)oATPは、Th17に偏った条件下(TGFβおよびIL−6条件培地)において抗CD3によって刺激されたT細胞におけるRORγTの発現を抑制しつつ、Foxp3の発現を徐々に増加させた。b)FACS解析によるFoxp3を発現しているCD4+CD25high細胞の絶対数は、oATPの存在下におけるTh17に偏った条件下において増加した。c)選別されたCD4+CD25high天然Treg細胞のTh17系列への脱分化は、oATPによって妨げられた。 図13:不十分な数のTreg細胞が養子移入された動物におけるoATP処置による炎症性腸疾患の回復。a)炎症を管理するには不十分ないくつかのTreg細胞がそれらの動物に養子移入されたIBDのマウスモデルにおけるTreg細胞内のFoxp3発現が、静脈内投与される100μlの3mM oATPによる毎日の処置によって、増加した。b)oATP処置動物は、腸の炎症の徴候、ならびに脾臓および腸間膜リンパ節のサイズの増加を示さなかった。c)oATP処置動物は、腸間膜リンパ節において少ない数のエフェクター/記憶T細胞を示した。d)腸間膜リンパ節におけるTreg/EM細胞の比は、oATP処置によって有意に変化しなかった。 図14:炎症性腸疾患のマウスモデルにおけるTreg産生についての実験プロトコル。CD3ε−/−マウスに、2×105個のナイーブCD4+T細胞;oATPとともに2×105個のナイーブCD4+T細胞;移入の16時間後にoATPの投与とともに2×105個のナイーブCD4+T細胞;または105個の天然Treg細胞とともに2×105個のナイーブCD4+T細胞を養子移入した。oATP処置動物に、2〜5日目はoATPを毎日静脈内投与し、6および7日目はoATP投与を行わず、そして8〜12日目にoATPを毎日静脈内投与した。28日目にCD4+亜集団についてマウスを解析した(実施例12参照)。 図15:炎症性腸疾患のマウスモデルにおけるoATP処置によるTreg細胞産生。a)oATPの最後の注射の14日後に、試験動物の結腸、脾臓および腸間膜リンパ節を炎症について評価した(実施例12を参照のこと)。b)CD4+CD25highFoxp3制御性T細胞のパーセンテージを同定しているFACS解析。c)CD4+CD44+CD62L−またはCD4+CD25+CD69+としてエフェクター記憶T細胞を同定しているFACS解析。エフェクター記憶T細胞に対するTreg細胞の比が示されている。 図16:oATP処置によるNZB/NZW F1マウスにおけるタンパク尿の回復。PBS(コントロール)またはoATPで処置されたNZB/NZW F1マウス由来の尿中のタンパク質濃度を表しているグラフ。25週齢の雌マウスに、PBSまたはoATP(100μl中3mM、5日間処置、2日間中断)を6週間にわたって静脈内投与した(実施例14を参照のこと)。10匹の動物にPBSを投与し、10匹の動物にoATPを投与した。 図17:oATP処置によるNZB/NZW F1マウスにおけるSLEの回復。25週齢のNZB/NZW F1雌マウスに、PBSまたはoATP(100μl中3mM、5日間処置、2日間中断)を6週間にわたって静脈内注射し、タンパク尿(上のパネル)および他の記載のパラメータ(下のパネル)について調べた(実施例14参照)。**:P<0.01;***:P<0.001。 図18:全身性エリテマトーデスにおけるT細胞エフェクター機能のoATPによる阻害。PBSまたはoATPで処置された25週齢のNZB/NZW F1雌マウスの脾臓から回収されたエフェクター/記憶(CD44+CD62L−)CD4+細胞(上のパネル);ELISAによって検出された、プレートに結合した抗CD3および抗CD28抗体で48時間にわたって刺激されたCD4+エフェクター/記憶T細胞によるIFN−γおよびIL−4の分泌(下のパネル)(実施例14参照)。**:P<0.01;***:P<0.001。 図19:コラーゲン誘導関節リウマチモデルにおける臨床スコアの変動。5日間処置、2日間中断および5日間処置という投薬スケジュールにおいて、0日目から開始し、12日間にわたってoATP(100μl中の3mM)またはコントロールPBSを静脈内投与してコラーゲン誘導RAマウスにおいて評価された、最初の疾患重症度の臨床スコアからの平均値の変動を表しているグラフ(実施例15参照)。 図20:oATP処置によるコラーゲン特異的抗体の減少。コラーゲン誘導関節リウマチモデルにおいて、II型コラーゲンELISAをoATP処置マウスおよびコントロールマウス由来のサンプルにおいて行った(実施例15参照)。 図21:crt−/−およびcrt+/+胎児肝前駆体によるリコンビナーゼ欠損マウスの再構成。crt+/−×crt+/−交配からのE13胚の遺伝子型を判定し、crt−/−およびcrt+/+胚を選択し、そして胎児肝前駆体をリコンビナーゼ欠損マウスに注射した(例えば、Porcelliniら、J.Exp.Med.203:461−471(2006)参照)(実施例16参照)。 図22:カルレティキュリン欠損胎児肝キメラマウスの移植片対宿主病様の表現型。造血前駆細胞移入の12週間後におけるcrt+/+胎児肝キメラ(FLC)、ならびに8、10および12週間後におけるcrt−/−FLCの表現型。脱毛症、眼瞼炎、猫背の姿勢および消耗症候群の進行性悪化が、crt−/−FLCにおいて見られる(実施例16参照)。 図23:crt欠損胎児肝キメラにおける上皮の限局性浸潤を伴う、皮膚表面における上皮過形成および大量の顆粒球。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色された切片は、炎症細胞が実質的に存在していないcrt+/+FLCとは対照的に、crt−/−FLCの皮膚において重篤な皮膚の顆粒球性の炎症性浸潤を示している(左パネルのバー=50μm;右パネルのバー=10μm)(実施例16参照)。 図24:oATPを注射されたcrt−/−マウスにおける眼瞼炎の回復。処置前および2週間にわたるPBSまたは6mM oATP(100μl)による毎日の静脈内処置後のcrt−/−FLCの表現型(実施例16参照)。 図25:2週間にわたってoATPを注射されたcrt−/−胎児肝キメラにおける眼瞼炎の組織学的な改善。皮膚バイオプシーの病理組織学的な評価を盲検様式で行った。これらのグラフは、oATP処置において見られた劇的な結果の選択された例を示している(実施例16参照)。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図15 図16 図17 図18 [0030] 発明の詳細な説明 定義および一般的手法 本発明は、概して、例えば、免疫寛容、自己免疫、免疫抑制および免疫療法に関する多様な処置のための複数の治療的な応用法を有する、少なくとも1つのT細胞活性を調節するための方法に関する。] [0031] 本明細書中で別段定義されない限り、本発明に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者が通常理解している意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般に、本明細書中に記載される、細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質化学および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関して使用される術語および手法は、当該分野において周知であり、一般に使用されるものである。] [0032] 用語「T細胞」または「Tリンパ球」は、本明細書中で総称的に使用されるとき、文脈によって別段示されない限り、例えば、ヘルパーT細胞(例えば、TH1、TH2、TH9およびTH17細胞)、細胞傷害性T細胞、記憶T細胞、制御性/サプレッサーT細胞(Treg細胞)、ナチュラルキラーT細胞、γδT細胞および/または自己攻撃性(autoaggressive)T細胞(例えば、TH40細胞)のことを指すことがある。ある特定の実施形態において、用語「T細胞」は、詳細には、ヘルパーT細胞のことを指す。ある特定の実施形態において、用語「T細胞」は、より詳細には、TH17細胞(すなわち、IL−17を分泌するT細胞)のことを指す。ある特定の実施形態において、用語「T細胞」は、Treg細胞のことを指す。] [0033] 用語「Treg細胞」は、本明細書中で使用されるとき、CD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞(すなわち、CD25+brightT細胞)のことを指す。本発明の方法における、制御能力を有する他のT細胞(例えば、Tr1細胞およびTh3細胞)の使用もまた、企図される。] [0034] 「T細胞活性」は、本明細書中で使用されるとき、例えば、T細胞の活性化、増殖、分化および生存、ならびに細胞溶解活性(Tc細胞)およびサイトカイン産生(Th細胞)を含む関連するエフェクター免疫機能の免疫学的プロセスの1つ以上のことを指す。1つの実施形態において、本明細書中に開示される組成物および方法を用いることにより、ヘルパーT細胞(Th)応答、例えば、Th17細胞応答を減少させることができる。別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物および方法を用いることにより、細胞傷害性T細胞(Tc)応答を減少させることができる。別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物および方法を用いることにより、制御性T(Treg)細胞の分化、増大および/または免疫抑制性活性を誘導することができる。本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのヘルパーT細胞活性が、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%低下する。本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのTreg細胞活性が、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%または1000%低下する。Foxp3は、単純な分子スイッチではなくTreg抑制性機能の量的な制御因子として作用するものであり、用量依存的様式で反応細胞(responder cell)におけるエフェクター機能を阻害する(Allanら、Eur.J.Immunol.38:3282−3289(2008))。上記の活性を検出するためおよび/またはモニターするためのアッセイは、数多く存在し、当該分野で周知であり、例えば、免疫細胞の増殖、サイトカインの放出、細胞表面マーカーの発現、細胞傷害性などに対するアッセイである。] [0035] 用語「ATP媒介性T細胞活性化」は、T細胞の活性化および/または増大をもたらす、T細胞上のP2レセプターへのATPの結合のことを指す。例えば、T細胞の活性化および/または増大が、T細胞上のP2レセプターへのATPの結合を特異的に阻止する作用物質(例えば、oATP)によって、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%阻止され得る場合、T細胞の活性化は、ATP媒介性である。ATP媒介性T細胞活性化は、例えば、ATPによって刺激されたT細胞集団におけるMAPKの活性化、ERKのリン酸化および/またはIL−2の発現を解析することによってアッセイされ得る(例えば、実施例3および4参照)。ある特定の実施形態において、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質を用いて処置するとき、T細胞集団におけるMAPKの活性化、ERKのリン酸化および/またはIL−2の発現は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%減少する。ATP媒介性T細胞活性化は、例えば、T細胞からのカリウムの流出またはT細胞へのナトリウムもしくはカルシウムの流入を測定する電気生理学的アッセイを通じて、例えば、イオンチャネルのATP媒介性の開口をモニターすることによってもアッセイされ得る。1つの実施形態において、ATPは、活性化の間にT細胞から放出され、P2レセプターのオートクラインおよび/またはパラクリン活性化をもたらす。] [0036] 用語「ATP媒介性T細胞活性化」は、T細胞の活性化および/または増大をもたらす、T細胞上のP2XレセプターへのATPの結合を含むと理解される。これは、「P2Xレセプターを介したATP媒介性T細胞活性化」と称されることがある。用語「ATP媒介性T細胞活性化」は、T細胞上のP2X7レセプターへのATPの結合(すなわち、「T細胞上のP2X7レセプターを介したATP媒介性T細胞活性化」)を含むと理解される。例えば、T細胞の活性化および/または増大が、T細胞上のP2XレセプターへのATPの結合を特異的に阻止する作用物質(例えば、oATP)を用いて少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%阻止され得る場合、P2Xレセプターを介したT細胞の活性化は、ATP媒介性である。P2Xレセプターを介したATP媒介性T細胞活性化は、例えば、ATPによって刺激されたT細胞集団におけるMAPKの活性化、ERKのリン酸化および/またはIL−2の発現を解析することによってアッセイされ得る(例えば、実施例3および4参照)。ある特定の実施形態において、P2Xレセプターを介したATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質を用いて処置するとき、MAPKの活性化、ERKのリン酸化および/またはIL−2の発現は、T細胞集団において10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%減少する。P2Xレセプターを介したATP媒介性T細胞活性化は、例えば、T細胞からのカリウムの流出またはT細胞へのナトリウムもしくはカルシウムの流入を測定する電気生理学的アッセイを通じて、例えば、イオンチャネルのATP媒介性の開口をモニターすることによってもアッセイされ得る。当業者によって理解されるように、他のP2レセプターサブタイプ、例えば、P2Yレセプターの活性化をモニターするために、類似のアッセイが使用され得る。1つの実施形態において、ATPは、活性化の間にT細胞から放出され、P2Xレセプターのオートクラインおよび/またはパラクリン活性化をもたらす。] [0037] 用語「T細胞アネルギー」は、T細胞の低い活性の状態、例えば、抗原と接触したときのT細胞の無反応性の状態のことを指す。T細胞アネルギーは、例えば、T細胞の増殖を妨げる、同時刺激の欠如および同時に生じるIL−2産生の不足に起因し得る。] [0038] 用語「分化」は、T細胞に関して本明細書中で使用されるとき、より特殊化されていない細胞型がより特殊化された細胞型になるプロセスのことを指す。] [0039] 用語「増大」は、T細胞に関して本明細書中で使用されるとき、T細胞の数の増加のことを指す。] [0040] 用語「阻害する」または「〜の阻害」は、本明細書中で使用されるとき、測定可能な量が減少することを意味する。阻害は、部分的であってもよいし、完全であってもよい。] [0041] 用語「誘導する」または「〜の誘導」は、本明細書中で使用されるとき、測定可能な量が増加することを意味する。] [0042] 用語「免疫状態」は、免疫成分が関連している任意の状態、および/または免疫応答もしくは自己免疫性応答を特徴とする任意の状態を含むと当業者によって理解されるだろう。用語「獲得免疫状態」は、獲得免疫系の成分が関連する任意の状態を含むと当業者によって理解されるだろう。] [0043] 用語「炎症」は、身体的な外傷、感染、慢性疾患(例えば、上で述べたようなもの)ならびに/または外部刺激に対する化学的および/もしくは生理学的反応によって(例えば、アレルギー性反応の一部として)誘発され得る、局所的または全身性の防御反応を特徴とする任意の状態を含むと当業者によって理解されるだろう。有害な作用物質と損傷組織の両方を破壊するか、弱めるか、または隔離するように働き得るそのような任意の応答は、例えば、熱感、腫脹、疼痛、発赤、血管の拡張および/もしくは血流の増加、白血球による患部の浸潤、機能喪失、ならびに/または炎症状態に関連すると知られている他の任意の症状によって現れ得る。] [0044] したがって、用語「炎症」は、任意の炎症性の疾患、障害もしくは状態のそれ自体、炎症性成分が関連する任意の状態、ならびに/またはとりわけ、急性、慢性、潰瘍性、特異性、アレルギー性および壊死性の炎症ならびに当業者に公知の他の形態の炎症を含む症状としての炎症を特徴とする任意の状態も含むと理解されるだろう。したがって、この用語は、本発明の目的のために、炎症性疼痛および/または炎症によって引き起こされる発熱も含む。] [0045] 用語「P2レセプター」は、例えば、P2XおよびP2Yレセプターを含む、細胞外ヌクレオチドに対するレセプターのタイプのことを指す。用語「P2Xレセプター」は、種々の細胞型上に存在するATP開口型陽イオンチャネルのことを指す。P2X1〜7レセプターのすべてが、ATPに結合し、しばしば迅速に脱感作する非選択的なイオンチャネルを開口する。P2X7レセプターは、例えば、炎症/免疫プロセスに関与する細胞型上;詳細には、マクロファージ、マスト細胞およびリンパ球(TおよびB)上に広く存在する。細胞外ヌクレオチド、特にアデノシン三リン酸(ATP)によるP2X7レセプターの活性化は、とりわけ、インターロイキン−1β(IL−1β)の成熟および放出をもたらすと知られている。] [0046] 本明細書中で使用されるとき、用語「P2Xレセプターアンタゴニスト」は、以下に記載されるアッセイおよび参照されるアッセイなどの任意の適当なアッセイによって測定されるとき、P2Xレセプター(P2X1〜7)の活性化を完全または部分的に関係なく妨げることができる化合物または他の物質である。P2Xレセプターアンタゴニストは、例えば、P2Xレセプターへの結合についてATPと競合する作用物質、例えば、oATPであり得る。P2X7レセプターアンタゴニストは、例えば、P2X7レセプターへの結合についてATPと競合する作用物質であり得る。T細胞P2X7レセプターアンタゴニストは、例えば、T細胞上のP2X7レセプターへの結合についてATPと競合する作用物質であり得る。] [0047] P2Xレセプター拮抗作用をアッセイするための方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第6,720,452号では、エチジウムブロマイド(蛍光性DNAプローブ)の存在下においてレセプターアゴニストを用いてP2X7レセプターが活性化されるときに、細胞内のDNAに結合したエチジウムブロマイドの蛍光の増加が観察される観察結果に基づいたアッセイが記載されている。したがって、蛍光の増加は、P2X7レセプター活性化の尺度として使用され得、ゆえに、それを使用することにより、P2X7レセプター上の化合物または物質の阻害性の効果が定量化され得る。] [0048] P2X7レセプターアンタゴニストの例としては、米国特許第6,492,355号;同第6,720,452号;同第6,881,754号および同第7,129,246号(その全体の内容が本明細書中で参考として援用される)に記載されている化合物が挙げられるが、これらに限定されない。] [0049] 本明細書中で使用されるとき、用語「パネキシン」は、無脊椎動物のイネキシンファミリーのタンパク質と相同性であるヘミチャネル形成タンパク質のことを指す。パネキシンヘミチャネルは、赤血球および味覚レセプター細胞においてATPを通過させ、マクロファージにおけるIL1−βの分泌を決定すると知られている。明確に示されない限り、「パネキシン」は、パネキシン−1またはパネキシン−2のいずれかを指し得る。ある特定の実施形態において、用語「パネキシン」は、パネキシン−1のことを指す。] [0050] 本明細書中で使用されるとき、用語「oATP」は、酸化型ATPのことを指し、それは、リボースの2’位および3’位に存在するヒドロキシルのジアルデヒドへの酸化によってATPから得られ得る。この酸化は、P.N.Loweら、“Preparation and chemical properties of periodate−oxidized adenosine triphosphate and some related compounds”,Biochemical Society Transactions 7:1131−1133(1979)に記載されているように過ヨウ素酸塩を用いて行われ得る。oATPは、P2z/P2X7プリン受容体アンタゴニストとして作用すると考えられている(Ferrariら、J Exp Med 185(3):579−582(1997))。] [0051] 本明細書中で使用されるとき、用語「パネキシンインヒビター」は、パネキシンヘミチャネルの機能を阻害する作用物質のことを指す。パネキシンインヒビターは、例えば、パネキシンヘミチャネルの機能を干渉する、小分子、抗体、ペプチドまたは他の任意の物質であり得る。1つの実施形態において、パネキシンインヒビターは、ペプチドである。好ましい実施形態において、パネキシンインヒビターは、PX10ペプチド、または配列がWRQAAFVDSY(配列番号1)であるPX10ペプチドと少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のペプチドであり、ここで、N末端およびC末端は、ある特定の実施形態において、遊離型であり、修飾されていない。] [0052] 本明細書中で使用されるとき、20個の従来のアミノ酸およびそれらの省略形は、従来の慣例に従う。本明細書中で参考として援用される、Immunology−A Synthesis(2nd Edition,E.S.Golub and D.R.Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))を参照のこと。その20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、非天然アミノ酸、例えば、α−,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸および他の非従来型のアミノ酸もまた、本発明のペプチドにとって適当な構成要素であり得る。非従来型のアミノ酸の例としては:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、ならびに他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書中で使用されるペプチド表記法では、標準的な慣例および慣習に従って、左側の方向が、アミノ末端の方向であり、右側の方向が、カルボキシ末端の方向である。] [0053] ペプチドに適用されるとき、用語「実質的な同一性」は、プログラムのGAPまたはBESTFITなどによってデフォルトのギャップウェイト(gap weights)を用いて最適にアラインメントされたとき、2つのペプチド配列が、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは、少なくとも90パーセントの配列同一性、より好ましくは、少なくとも95パーセントの配列同一性、最も好ましくは、少なくとも99パーセントの配列同一性を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基の位置は、保存的なアミノ酸置換によって異なる。保存的なアミノ酸置換は、同様の側鎖を有する残基の互換性のことを指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびトレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニンおよびヒスチジンであり;そして硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存的なアミノ酸置換の群は:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸およびアスパラギン−グルタミンである。] [0054] 本明細書中で考察されるように、ペプチドのアミノ酸配列における重大でない変化は、アミノ酸配列における変化が、非バリアント配列の少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、90%または95%、最も好ましくは、96%、97%、98%または99%を維持する場合、本発明によって包含されると企図される。特に、保存的なアミノ酸の置き換えが、企図される。保存的な置き換えは、側鎖において関係するアミノ酸のファミリー内で生じるものである。遺伝的にコードされるアミノ酸は、一般に、以下のファミリー:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)無極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)無電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。より好ましいファミリー:セリンおよびトレオニンは、脂肪族−ヒドロキシファミリーであり;アスパラギンおよびグルタミンは、アミド含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは、脂肪族ファミリーであり;そしてフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、芳香族ファミリーである。例えば、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの、グルタミン酸によるアスパラギン酸の、セリンによるトレオニンの孤立した置き換え、または構造的に関係するアミノ酸によるアミノ酸の同様の置き換えは、特に、その置き換えが、フレームワーク部位内のアミノ酸を含まない場合、生じる分子の結合性または特性に対して主要な効果を有しないと予想されることが妥当である。アミノ酸の変更によって機能性ペプチドがもたらされるか否かは、そのペプチド誘導体の特定の活性、例えば、少なくとも1つのT細胞の活性の阻害をアッセイすることによって、容易に判定され得る。] [0055] 好ましいアミノ酸置換は:(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させるもの、(2)酸化に対する感受性を低下させるもの、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更するもの、(4)結合親和性を変更するもの、および(5)そのようなアナログの他の物理化学的または機能的な特性を付与するか、または改変するものである。アナログは、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々なムテインを含み得る。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的なアミノ酸置換)が、天然に存在する配列(好ましくは、分子間の接触を形成するドメイン外のペプチドの部分)において行われ得る。保存的なアミノ酸置換は、親配列の構造的な特徴を実質的に変更するべきでない(例えば、置き換えのアミノ酸は、親配列に存在するヘリックスを壊すか、または親配列を特徴づける他のタイプの二次構造を破壊する傾向があるべきでない)。当該分野において認められているペプチドの二次構造および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));およびThornton et at.Nature 354:105(1991)(その各々が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。] [0056] ペプチドアナログは、鋳型ペプチドの特性と類似の特性を有する非ペプチド薬物として製薬業界において通常使用されるものである。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」と呼ばれる。Fauchere,J Adv Drug Res 15:29(1986);Veber and Freidinger,TINS p.392(1985);およびEvansら、J Med Chem 30:1229(1987)(本明細書中で参考として援用される)。そのような化合物は、コンピュータを使用した分子モデリングの助けによって開発されることが多い。治療的に有用なペプチドに構造的に類似したペプチド模倣物を用いることにより、等価な治療的または予防的な効果がもたらされ得る。一般に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体などの模範ペプチド(すなわち、生化学的な特性または薬理学的な活性を有するペプチド)に構造的に類似しているが、当該分野で周知の方法によって、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(cisおよびtrans)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−および−CH2SO−からなる群から選択される結合によって必要に応じて置き換えられた1つ以上のペプチド結合を有する。同じタイプのD−アミノ酸によるコンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の体系的な置換(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)を用いることにより、より安定なペプチドが生成され得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列バリエーションを含む拘束性ペプチドが、当該分野で公知の方法によって(Rizo and Gierasch,Ann Rev Biochem 61:387(1992)、本明細書中で参考として援用される);例えば、ペプチドを環化させる分子内ジスルフィド架橋を形成することができるシステイン残基を内部に付加することによって、生成され得る。] [0057] 本明細書中で使用されるとき、用語「被験体」は、治療的な処置のレシピエントのことを指し、すべての動物を含む。例示的な実施形態において、被験体は、ヒトである。] [0058] 本明細書中で使用されるとき、用語「処置する(treat)」「処置する(treating)」および「処置」は、状態もしくは疾患、またはその少なくとも1つの臨床的症状を減少させるか、軽減するか、または回復することを指すために使用され得る。処置が、そのような症状または状態が測定可能である前に施されるとき、その処置は、「予防する」と考えられ得る。] [0059] 用語「作用物質」は、本明細書中で言及されるとき、分子、化合物または組成物のことを指す。いくつかの実施形態において、「作用物質」は、細胞、例えば、Treg細胞を含み得る。] [0060] 用語「治療薬」は、本明細書中で言及されるとき、治療効果を果たす分子、化合物または組成物のことを指す。] [0061] 用語「有効量」は、単独で、または別の治療薬と組み合わせて投与されたときに、処置される患者に対して治療効果を付与する治療薬の量のことを指す。その効果は、客観的(すなわち、いくつかの試験またはマーカーによって測定可能)であってもよいし、主観的(すなわち、被験体が効果の徴候を示すか、または効果を感じる)であってもよい。] [0062] 用語「T細胞依存性の免疫応答を調節する作用物質」は、例えば、ATP媒介性T細胞活性化のインヒビター、ならびに少なくとも1つのTreg細胞の活性、例えば、T細胞の分化および/もしくは増大、またはT細胞の免疫抑制性の活性の調節因子(modulators)のことを指す。いくつかの実施形態において、「T細胞依存性の免疫応答を調節する作用物質」は、免疫抑制性の活性を有するTreg細胞を含む組成物である。] [0063] ATP媒介性T細胞活性化の阻害 本発明は、ATP媒介性T細胞活性化のインヒビターを用いて、少なくとも1つのヘルパーT細胞活性、例えば、T細胞の活性化、増殖および/またはエフェクター機能を阻害する方法を提供する。1つの実施形態において、そのようなインヒビターは、P2Xレセプターアンタゴニスト、例えば、T細胞P2X7レセプターアンタゴニストである作用物質を含む。好ましい実施形態において、そのインヒビターは、oATPである。別の実施形態では、そのようなインヒビターは、パネキシンヘミチャネルの透過性を阻害する作用物質を含む。別の好ましい実施形態では、そのインヒビターは、PX10ペプチド(そのアナログまたは化学的に改変された誘導体を含む)またはカルベノキソロンである。例示的な実施形態において、本発明の方法は、インビボにおいて行われる。] [0064] 1つの実施形態において、ATP媒介性T細胞活性化を特徴とする免疫状態を処置するための方法が、提供される。1つの実施形態において、これらの方法は、本明細書中に開示されるATP媒介性T細胞活性化のインヒビターの少なくとも1つを、単独で、または代替の免疫療法プロトコルもしくは免疫抑制的プロトコルと組み合わせて哺乳動物被験体に投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、ATP媒介性T細胞活性化の少なくとも1つのインヒビターが、被験体に投与され、ここで、前記インヒビターは、ATPとP2レセプター、例えば、P2Xレセプター、例えば、T細胞P2X7レセプターとの相互作用を干渉することおよびATPシグナル伝達を阻害することができる。例示的な実施形態において、ATP媒介性T細胞活性化のインヒビターは、oATPである。] [0065] Treg細胞の分化および/または増大の誘導 本発明は、Treg細胞の分化および/または増大の恩恵を受ける免疫状態を処置するための方法を提供する。1つの実施形態において、これらの方法は、単独で、または代替の免疫療法プロトコルもしくは免疫抑制的プロトコルと組み合わせて、本明細書中に開示される少なくとも1つの作用物質と接触させることによって分化したおよび/または増大したTreg細胞を、哺乳動物被験体に投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、Treg細胞は、本発明の方法に従ってインビトロにおいて分化され、そして/または増大され、続いて、被験体に投与される。] [0066] 好ましい実施形態において、Treg細胞の分化および/または増大を誘導する作用物質は、oATPを含む組成物である。その組成物は、好ましくは、(1)T細胞の一次刺激物質;および(2)細胞成分または可溶性メディエーターも含む。] [0067] ある特定の実施形態において、T細胞の一次刺激物質は、T細胞レセプター(TCR)に結合し、主要な刺激シグナルを開始するリガンド(例えば、CD3または抗CD3)である。T細胞の一次刺激物質は、他の天然および合成のリガンドを含む。天然のリガンドは、ペプチドを提示しているかまたはしていないMHCを含み得る。他のリガンドとしては、ペプチド、ポリペプチド、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、糖ペプチド、可溶性レセプター、ステロイド、ホルモン、マイトジェン(例えば、PHA)、他のスーパー抗原、ペプチド−MHC複合体および可溶性MHC複合体が挙げられ得るが、これらに限定されない。他の実施形態において、T細胞刺激物質は、代理の機構によって働く。そのような刺激物質としては、例えば、プロテインキナーゼC活性化因子、例えば、ホルボールエステル(例えば、酢酸ミリスチン酸ホルボール)およびカルシウムイオノフォア(例えば、細胞質のカルシウム濃度を上昇させるイオノマイシン)が挙げられる。そのような作用物質の使用は、TCR/CD3複合体を迂回するが、T細胞に刺激性のシグナルを送達する。] [0068] ある特定の実施形態において、細胞成分または可溶性メディエーターは、例えば、抗原提示細胞(例えば、自家、同系間、同種間または異種間の照射された脾細胞由来)、動員される細胞の産物(白血球フェレーシス細胞産物および/または骨髄由来細胞産物(例えば、腸骨稜細胞産物および/または椎体)を含むがこれらに限定されない)、ならびにリンパ節および脾臓などのリンパ系組織の他の供給源からの細胞産物から選択される1つ以上の細胞産物を含む。他の実施形態において、細胞成分または可溶性メディエーターは、レチノイン酸(例えば、Hillら、Immunity 29:758−770(2008)を参照のこと)、ラパマイシン、DNAメチル化のインヒビター(例えば、5−アザシチジン;例えば、Kim and Leonard,J.Exp.Med.204(7):1543−1551(2007)を参照のこと)、サイトカイン(例えば、TGF−ベータおよびインターロイキン(IL)−2)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)のインヒビター、例えば、トリコスタチンA(Taoら、Nature Medicine 13:1299(2007))およびα1−抗トリプシン(Lewisら、PNAS 105:16236(2008))から選択される1つ以上の可溶性の作用物質を含む。] [0069] 本組成物は、CD80、4−1BB、CD52アゴニスト、CD28抗体、リンパ球機能関連抗原−3(LFA−3)、CD2、CD40、CD80/B7−1、CD86/B7−2、OX−2、CD70およびCD82を含むがこれらに限定されない他の作用物質も含み得る。] [0070] 例示的な実施形態において、組成物は、oATP、抗CD3抗体および照射された同系脾細胞を含む。本組成物は、IL−2をさらに含み得る。] [0071] 1つの実施形態において、組成物は、oATP、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む組成物よりも効果的にTreg細胞の分化/増大を誘導する。] [0072] 分化されるおよび/または増大されるT細胞は、例えば、哺乳動物の供給源(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラットまたはそれらのトランスジェニック種)から得ることができる。T細胞、例えば、ナイーブT細胞またはTreg細胞は、例えば、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、脾臓組織、腫瘍またはT細胞株から単離され得る。] [0073] Treg細胞に分化することができる細胞は、哺乳動物の前駆細胞(例えば、ナイーブT細胞、例えば、ナイーブCD4+T細胞)を含む。本発明は、他のタイプのT細胞、例えば、Th17細胞をTreg系列に逆転させる本発明の作用物質の使用および方法も企図する。したがって、本発明の作用物質を使用することにより病原性T細胞の表現型を保護的なT細胞の表現型に逆転させる方法が、提供される。本発明は、例えば、Treg細胞が非Treg細胞型(例えば、Th17細胞などの病原性T細胞型)に変換することを阻害することによって、本発明の作用物質を使用してTreg細胞の表現型を維持する方法もまた提供する。] [0074] 上述の供給源からT細胞を得る方法は、当該分野で公知である。例えば、T細胞は、FICOLLTM分離を用いて、抽出された血液から得ることができる。あるいは、T細胞は、アフェレーシスまたは白血球搬出法によって被験体の循環血から得ることができる。T細胞の特定の亜集団、例えば、ナイーブCD4+細胞および/またはTreg細胞の濃縮および/または単離は、当該分野で公知のポジティブおよびネガティブ選択手法を用いて行われ得、それらの選択手法としては:蛍光励起細胞分取(FACS)、抗体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁気分離、アフィニティークロマトグラフィ、モノクローナル(monoconal)抗体に結合された、またはモノクローナル抗体とともに使用される、細胞傷害性作用物質、例えば、補体および細胞毒、ならびに固体マトリックス、例えば、プレートに接着された抗体を用いた「パニング」、または他の簡便な手法が挙げられるがこれらに限定されない。ポジティブ選択は、所望でないT細胞型に特異的な表面マーカー(surface makers)を含むT細胞に対するネガティブ選択と組み合わされ得る。] [0075] いくつかの実施形態において、ナイーブCD4+細胞が、その後のTreg細胞への分化のために精製される。ナイーブCD4+細胞は、例えば、ネガティブ選択を用いてCD8+T細胞およびエフェクター記憶T細胞(CD54R0)、B細胞(CD19)、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞および好中球を除去することによって、単離され得る。好ましい実施形態において、上述の選択手法に由来する組成物の細胞の少なくとも55%、65%、75%、85%、90%、95%、98%または100%が、ナイーブCD4+細胞である。] [0076] Treg細胞は、CD4+CD25+である細胞を含み、細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA)−4、糖質コルチコイド誘導性TNFレセプター(GITR)およびフォークヘッド/翼状ヘリックス転写因子Foxp3の発現も特徴とする。Treg細胞は、当該分野で公知の方法を用いて、CD25、GITR、CTLA−4およびFoxp3の発現に基づいて細胞の混合集団(例えば、末梢血単核球を含む集団または分化したTreg細胞とナイーブCD4+細胞との混合物を含む集団)から単離され得る。いくつかの実施形態において、制御性T細胞は、制御性T細胞においてダウンレギュレートされるCD127を発現するすべての細胞を除去することによって、他の細胞から単離され得る。1つの実施形態において、制御性T細胞は、死細胞と特異的に会合する色素(例えば、ヨウ化プロピジウム、エチジウムモノアザイド)を使用することによって、死細胞に対して選択され得る。他の実施形態において、制御性T細胞は、例えば、米国特許公開番号20060063256、20060233751、20060240024および20080279834(それらの全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されているような当該分野で公知の他の方法を用いて得られる。好ましい実施形態において、上述の選択手法および単離手法に由来する組成物の細胞の少なくとも55%、65%、75%、85%、90%、95%、98%または100%が、制御性T細胞である。] [0077] 1つの実施形態において、CD4+CD25+Foxp3+Treg細胞は、2工程の方法において末梢血サンプルから直接単離される。第1工程は、赤血球をサンプル中の不必要な細胞に架橋するRosetteSep(登録商標)技術を用いる、所望でない細胞のネガティブ選択によるCD4+T細胞の濃縮を含む。次いで、架橋された細胞は、濃縮培地(density medium)に対する遠心分離によってペレットにされ、廃棄され得る。第2工程は、濃縮されたCD4+T細胞集団からの、カラムを用いない免疫磁気選択によるCD25+bright細胞のポジティブ選択を含む。この工程は、例えば、立ち去らせる真の能力(true walk−away capability)を備えたピペッティングロボットであるRoboSept(登録商標)を用いて自動化され得る。この2工程プロセスは、高度に精製されたTregサンプルを全血から得るために必要な時間を著しく短縮する。このプロセスは、例えば、米国特許第7,135,335号(その全体が本明細書中で参考として援用される)に詳細に記載されている。Treg細胞の高度に精製された集団を分離するための当該分野で公知のいくつかの他の任意の方法が、本発明に従って用いられ得る。] [0078] 1つの実施形態において、Treg細胞は、高用量のIL−2およびラパマイシンを用い、CD3/CD28増大ビーズを使用して増大される。この増大プロトコルは、例えば、米国特許公開番号20050196386(その全体が本明細書中で参考として援用される)に詳細に記載されている。Treg細胞の増大するための当該分野で公知のいくつかの他の任意の方法が、本発明に従って用いられ得る。] [0079] Treg細胞の刺激および増大は、任意の細胞培養環境、例えば、培養フラスコ、培養バッグ、または細胞を保持することができる任意の容器(例えば、バイオリアクター)、好ましくは、無菌の環境において、行われ得る。Treg細胞の分化および/または増大を誘導する作用物質の1つ以上の成分は、可溶性の形態であってもよいし、固体支持体(例えば、ビーズ(例えば、常磁性ビーズ)または組織培養皿)上に固定化されていてもよい。固相表面は、プラスチック、ガラスまたは他の任意の適当な材料であり得る。その刺激および増大は、細胞培養の1つ以上のステージにおいて行われ得る(例えば、米国特許公開番号20060286067を参照のこと)。Treg細胞は、好ましくは、少なくとも2倍、より好ましくは、少なくとも10、50、100、200、300、500、800または1000倍増大される。] [0080] Treg細胞は、いったん単離され、分化し、そして/または増大されると、Foxp3の発現に基づいて、ならびにTGF−ベータの産生、そしてIL−2、IL−10、IL−4、IL−5およびIFN−ガンマを産生しないことによって特徴づけられ得る。単離されたTreg細胞の抑制性の活性は、例えば、反応T細胞との共培養によって試験され得る。本発明は、例えば、サイトカイン刺激を通じて、または被験体に投与する前に目的の遺伝子(genes or interest)(例えば、治療的な遺伝子またはノックアウト遺伝子)を付加することによって、増大された細胞を操作することも予想する。例えば、Treg細胞は、抑制性の因子または他の生物学的な因子、例えば、IL−4、幹細胞成長因子、血管新生制御因子、遺伝的欠損などを炎症部位に送達する「トロイの木馬」として働き得る。さらに、Foxp3の過剰発現は、病原性T細胞を制御性T細胞に別途変換すると示されており、ポリクローナル的に増大されたT細胞は、抗原特異的なTCR+Foxp3をコードする遺伝子を形質導入されることにより、強力な抗原特異的制御性T細胞を非常に多く産生し得る。これらの抗原特異的なアプローチは、制御性T細胞の特異性および機能を最大にしつつ、最初に多数の細胞数が必要であることを低下させる。] [0081] T細胞依存性免疫応答を調節する方法 本発明は、概して、免疫寛容、自己免疫、免疫抑制および免疫療法に対する複数の治療的な応用法を有するT細胞活性を調節するための方法および組成物に関する。特に、本発明は、(1)少なくとも1つのT細胞活性を阻害する方法(ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質とT細胞を接触させる工程を包含する)、および(2)少なくとも1つのTreg細胞活性、例えば、Treg細胞の分化、増大および/または免疫抑制性の活性を調節する方法(少なくとも1つのTreg細胞活性を調節する作用物質とTreg細胞を接触させる工程を包含する)を提供する。ある特定の実施形態において、方法(1)は、インビボにおいて行われ;方法(2)は、インビトロにおいて行われ、それに続いて、調節された活性を有するTreg細胞(例えば、分化したおよび/もしくは増大したTreg細胞、または免疫抑制性の活性が高いTreg細胞)のインビボ投与が行われる。] [0082] 本明細書中で初めて開示されたように、活性化の間にT細胞から放出されるATPは、MAPK活性化によってP2Xレセプターのオートクライン活性化をもたらす。これは、増殖性T細胞の活性化および増大に対して不可欠な共刺激因子を意味する。] [0083] また、本明細書中で初めて開示されたように、パネキシンは、T細胞上に発現されるものであり、T細胞活性の正の制御因子として作用し、ここで、ATPによって媒介されるシグナル伝達は、パネキシンヘミチャネル形成をもたらし、T細胞活性化に導く。] [0084] したがって、ATPシグナル伝達は、T細胞応答(例えば、細胞周期の進行、分化、生存、サイトカイン産生および細胞溶解活性化)の促進に関与する。これらの知見から、他の状態の中でも自己免疫性状態および移植関連の免疫応答を処置する目的で、ATP媒介性T細胞活性化を干渉することができる治療薬(例えば、P2Xレセプターアンタゴニスト、またはパネキシンヘミチャネル形成を阻止する作用物質、またはATP媒介性T細胞活性化に関連するチャネルを阻止する作用物質)を使用することによりT細胞の活性(例えば、ヘルパーT細胞の活性)の調節が可能になる。] [0085] 本明細書中で初めて開示されたように、Th17細胞(IL−17を分泌するT細胞)の分化は、oATPによって阻害される。このT細胞サブセットは、現在、Tリンパ球依存性の炎症性応答の主要な成分とみられている。したがって、本発明は、Th17細胞を、ATP媒介性T細胞活性化の少なくとも1つのインヒビターと接触させることによって、Th17細胞の分化および/またはIL−17分泌を阻害するための方法を提供する。本発明は、保護的なT細胞、例えば、Treg細胞がTh17細胞に変換することを阻害するため、およびTh17細胞が保護的なT細胞、例えば、Treg系列に変換することを促進するための方法も提供する。本発明の前記方法は、例えば、インビトロまたはインビボにおいて行われ得る。] [0086] さらに、本明細書中で初めて開示されたように、抗CD3、IL−2および照射された同系脾細胞と併用されるoATPは、Foxp3の発現レベルが高い活性な制御性T細胞(Treg細胞)の分化と著しい増大の両方を誘導する。したがって、oATP、特に、ある特定の他の作用物質を含む組成物中のoATPは、Tregの分化および/または増大を誘導し得る。これらの知見から、他の状態の中でも自己免疫性状態および移植関連の免疫応答(例えば、移植片対宿主病)を処置する目的で、oATPを含む組成物を使用することによりT細胞の活性(例えば、制御性T細胞の活性)の調節が可能になる。] [0087] 本発明は、炎症性および自己免疫性の状態を処置する際に使用するための、ATP媒介性T細胞活性化のインヒビターならびにTregの分化および/または増大の誘導物質に対する新規の用途を提供する。本発明のインヒビターおよび誘導物質は、特定の状態(例えば、喘息、アレルギー、関節リウマチ、乾癬性関節炎、関節炎、内毒素血症、I型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片対宿主病、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性障害、強皮症、シェーグレン症候群、エルドハイム・チェスター症候群、クローン病症候群、高安動脈炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、ヴェルルホフ特発性血小板減少症候群、乾癬、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、白斑、薬物関連皮疹、接触過敏症、エリテマトーデス、痘瘡状苔癬状粃糠疹、慢性苔癬状粃糠疹、湿疹、扁平苔癬、および本明細書中に開示されるかまたは当該分野で公知である他のいくつかの任意の免疫状態の処置においてT細胞の活性を調節するため、作動させる(agonize)ため、阻止するため、増加させるため、阻害するため、減少させるため、拮抗するため、または中和するために使用され得る。そのようなインヒビターおよび誘導物質は、現在知られているか、または後に発見される任意のT細胞媒介性の免疫状態にとって有益であり得る。好ましい実施形態において、前記インヒビターおよび誘導物質は、oATPを含む。] [0088] 1つの実施形態において、本発明の方法は、炎症状態を処置するために使用され、ここで、前記炎症状態は、先天性免疫系の炎症状態でないか、または前記炎症状態は、完全に先天性免疫系の炎症状態ではない。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、炎症状態を処置するために使用され、ここで、前記炎症状態は、部分的または完全に、獲得免疫系の炎症状態である。その先天性免疫系は、非特異的な様式で病原体に対して応答する細胞および機構を含む。先天性免疫系の細胞によって引き起こされる炎症は、疼痛レセプターを感作し、血管の拡張を引き起こし、そして食細胞を誘引する、メディエーター(例えば、ヒスタミン、ブラジキニン、セロトニン、ロイコトリエンおよびプロスタグランジン)を産生する。これらの反応は、自己免疫疾患の病原性の応答に直接関与しない。対照的に、Tリンパ球依存性の炎症性応答を含む獲得免疫系は、抗原特異的な様式で病原体に対して応答し、自己免疫疾患の媒介に直接関与し得る。先天性免疫系の細胞およびプロセスは、獲得免疫系の細胞およびプロセスとは異なる。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、獲得免疫系の炎症状態および/または自己免疫性状態を処置するために使用される。1つの実施形態において、本発明の方法は、T細胞の活性化に関係する開始期(initiating phase)の炎症性および/または自己免疫性のプロセスを処置するために使用される。例示的な実施形態において、本発明の前記方法は、インビボにおいて行われる。] [0089] 好ましい実施形態において、抗原性の刺激に対する宿主の免疫応答を抑制するための方法が提供され、その方法は、ATP媒介性T細胞活性化の上述のインヒビターの少なくとも1つ、Treg細胞の分化および/もしくは増大を誘導する上述の作用物質のうちの1つ、ならびに/または上述の作用物質の1つとの接触によって分化したおよび/もしくは増大したTreg細胞を宿主に投与することを包含する。例えば、抗原性の刺激は、自己免疫疾患の状況における自己抗原によるものであり得るか、または移植された臓器および組織に存在するドナー抗原によるものであり得る。例示的な実施形態において、前記方法は、インビボにおいて行われる。] [0090] 本発明は、薬学的に許容可能なキャリア、ならびにATP媒介性T細胞活性化の少なくとも1つのインヒビターならびに/またはTreg細胞の分化および/もしくは増大の1つの誘導物質を含む薬学的組成物を用いて炎症状態または免疫状態を処置するための方法も提供する。いくつかの実施形態において、その薬学的組成物は、前記誘導物質によって分化したおよび/または増大したTreg細胞を含む。例示的な実施形態において、前記処置方法は、インビボにおいて行われる。] [0091] 本発明の方法は、例えば、炎症性腸疾患(例えば、クローン病およびセリアック病)、過敏性腸症候群、片頭痛、頭痛、腰痛、線維筋痛症、筋筋膜障害(myofascial disorders)、ウイルス感染(例えば、C型肝炎、および特に、インフルエンザ、感冒、帯状疱疹およびAIDS)、自己免疫性肝炎、細菌感染、真菌感染、月経困難、やけど、外科的手技または歯科的手技、悪性腫瘍(例えば、乳癌、結腸癌および前立腺癌)、アテローム性動脈硬化症、腸原性(enterogenic)脊椎関節症、痛風、関節炎、変形性関節症、若年性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、熱(例えば、リウマチ熱)、強直性脊椎炎(ankylosing sodalities)、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎、膵炎、腎炎、滑液包炎、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷治癒、皮膚科学的状態(例えば、乾癬、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、白斑、薬物関連皮疹、接触過敏症、エリテマトーデス、痘瘡状苔癬状粃糠疹、慢性苔癬状粃糠疹、湿疹および扁平苔癬)、脳卒中、真性糖尿病、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病および多発性硬化症)、自己免疫疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性障害、強皮症、シェーグレン症候群、エルドハイム・チェスター症候群、クローン病症候群、高安動脈炎、自己免疫性溶血性貧血およびヴェルルホフ特発性血小板減少症候群)、骨粗鬆症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、アレルギー性障害、鼻炎、潰瘍、冠状動脈心疾患、サルコイドーシス、移植片拒絶、移植片対宿主病、ならびに免疫成分または炎症性成分による他の任意の疾患の処置において有用であり得る。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、獲得免疫成分による疾患を処置するために使用される。] [0092] さらなる局面では、Tリンパ球依存性の炎症状態または免疫状態を処置するための方法が提供される。好ましい実施形態において、Tリンパ球依存性の炎症状態または免疫状態は、例えば、喘息、アレルギー、関節リウマチ、乾癬性関節炎、関節炎、内毒素血症、I型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、多発性硬化症、移植片拒絶、移植片対宿主病、筋萎縮性側索硬化症、脱髄性障害、強皮症、シェーグレン症候群、エルドハイム・チェスター症候群、クローン病症候群、高安動脈炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、ヴェルルホフ特発性血小板減少症候群および皮膚科学的状態(例えば、乾癬、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、白斑、薬物関連皮疹、接触過敏症、エリテマトーデス、痘瘡状苔癬状粃糠疹、慢性苔癬状粃糠疹、湿疹および扁平苔癬)からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、炎症状態または免疫状態は、マスト細胞の脱顆粒に関連する。好ましい実施形態(emodiment)において、前記方法は、インビボにおいて行われる。1つの実施形態において、その方法は、ATP媒介性T細胞活性化の上述のインヒビターのうちの少なくとも1つ、Treg細胞の分化および/もしくは増大を誘導する上述の作用物質のうちの1つ、ならびに/または上述の作用物質のうちの1つとの接触によって分化したおよび/もしくは増大したTreg細胞を、単独で、あるいは代替の免疫療法ならびに/または免疫抑制剤および/もしくは免疫抑制的プロトコルとともに、被験体、例えば、哺乳動物の被験体に投与する工程を包含する。] [0093] 1つの実施形態において、臓器移植および組織移植の結果を改善するため、ならびに移植片の生存を延長するための方法が提供される。1つの実施形態において、これらの方法は、ATP媒介性T細胞活性化の上述のインヒビターの少なくとも1つ、Treg細胞の分化および/もしくは増大を誘導する上述の作用物質のうちの1つ、ならびに/または上述の作用物質のうちの1つとの接触によって分化したおよび/もしくは増大したTreg細胞を、単独で、または代替の免疫療法プロトコルおよび/もしくは免疫抑制的プロトコルとともに移植レシピエントに投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、ATP媒介性T細胞活性化の少なくとも1つのインヒビターが、移植レシピエントに投与され、ここで、前記インヒビターの投与は、移植片に存在するドナー抗原に対するレシピエントの免疫応答、例えば、T細胞の活性化を減少させるために有効である。別の好ましい実施形態では、Treg細胞の分化および/または増大を誘導する少なくとも1つの作用物質が、移植レシピエントに投与され、ここで、前記作用物質の投与は、移植片に存在するドナー抗原に対するレシピエントの免疫応答を抑制するために有効である。さらに別の好ましい実施形態では、前記誘導剤との接触によって分化したおよび/または増大したTreg細胞が、移植レシピエントに投与され、ここで、前記Treg細胞の投与は、移植片に存在するドナー抗原に対するレシピエントの免疫応答を抑制するために有効である。例えば、Taylorら、Blood 99:3493−3499(2002)を参照のこと。1つの実施形態において、移植片は、同種移植片である。別の実施形態では、移植片は、異種移植片である。] [0094] 特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、移植された組織の生存を延長するために使用され得る。急性および/または慢性の移植片拒絶を予防する際に使用するための好ましい組成物は、ATPアンタゴニスト、例えば、oATP、および/またはパネキシンヘミチャネルの構築を阻止する作用物質、例えば、PX10を含む。特に好ましい作用物質としては、ATPとATPに対するレセプターとの天然の相互作用を模倣する小分子化学組成物が挙げられる。Treg細胞の分化および/または増大を誘導する組成物は、好ましくは、(1)T細胞の一次刺激物質;および(2)細胞成分または可溶性メディエーターも含む。本発明の方法は、インビトロにおいて行われてもよいし、インビボにおいて行われてもよい。] [0095] 1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質は、デバイス内に含められた生物学的材料からなる埋没物のレシピエントに投与されることにより、そのレシピエントの免疫応答が低下し、そして/または移植された組織の生存が延長する。そのデバイスは、患者に生物学的材料を埋め込むための任意のデバイスであり得、例えば、米国特許公開番号2006/0024276、米国特許第6,716,246号またはPCT特許公開番号WO08/097498(これらの各々が、本明細書中でその全体が参考として援用される)に記載されているようなデバイスであり得る。1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質は、前記デバイスのレシピエントに対して、局所的に、すなわち、デバイスを埋め込む部位に、またはその部位の近傍に、投与される。部位の「近傍における」作用物質の投与とは、本明細書中で使用されるとき、前記部位と細胞で連絡されている細胞または組織への作用物質の投与のことを指す。1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質は、前記デバイスのレシピエントに対して、デバイスを埋め込む部位付近または部位周囲の1つ以上のリンパ節に投与される。] [0096] 1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質は、物質を投与するためのデバイスを含む埋没物のレシピエントに投与されることにより、例えば、レシピエントの免疫応答または炎症性応答が低下する。そのデバイスは、患者において生物学的材料を埋め込むための任意のデバイスであり得、例えば、米国特許公開番号2006/0024276、米国特許第5,324,518号、米国特許第6,716,246号またはPCT特許公開番号WO08/097498(これらの各々の全体が、本明細書中で参考として援用される)に記載されているようなデバイスであり得る。1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質は、前記デバイスのレシピエントに対して、局所的に、すなわち、デバイスを通じて、またはデバイスを埋め込む部位に、もしくはその部位の近傍に、投与される。1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質は、前記デバイスのレシピエントに対して、デバイスを埋め込む部位付近または部位周囲の1つ以上のリンパ節に投与される。] [0097] ATP媒介性T細胞活性化のインヒビターおよび少なくとも1つの他の免疫抑制剤または抗炎症剤を含む薬学的組成物を用いて、T細胞活性、例えば、T細胞の活性化、増殖およびエフェクター機能を阻害するための方法もまた提供される。例示的な実施形態において、本発明の前記方法は、インビボにおいて行われる。] [0098] oATPおよび少なくとも1つの他の免疫抑制剤または抗炎症剤を含む薬学的組成物を用いて、Treg細胞の免疫抑制性の活性を増加させるための方法もまた提供される。いくつかの実施形態において、その薬学的組成物は、(1)T細胞の一次刺激物質;および(2)細胞成分または可溶性メディエーターも含む。例示的な実施形態において、T細胞(例えば、ナイーブT細胞)は、インビトロにおいて上述の組成物と接触され、分化し、そして、生じたTreg細胞は、Treg細胞の集団に増大され、そしてそれは、その必要のある被験体へのインビボ投与のために、少なくとも1つの他の免疫抑制剤もしくは抗炎症剤、または抗原特異的な様式でTreg表現型を促進および維持するのを助ける少なくとも1つの作用物質を含み得る薬学的組成物として投与される。別の実施形態では、oATP(単独で、または他の作用物質とともに)が、その必要のある被験体に投与されることにより、Treg細胞の免疫抑制性の活性がインビボにおいて増加する。] [0099] 免疫抑制剤は、例えば、シクロスポリン、ラパマイシン、キャンパス(campath)−1H、ATG、Prograf、抗IL−2r、MMF、FTY、LEA、インターフェロン、インターロイキン−2、シクロスポリンA、ジフチトキス(diftitox)、デニロイキン(denileukin)、レバミゾール、アザチオプリン、ブレキナル、グスペリムス、6−メルカプトプリン、ミゾリビン、ラパマイシン、タクロリムス(FK−506)、葉酸アナログ(例えば、デノプテリン(denopterin)、エダトレキセート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン、TomudexRTMおよびトリメトレキサート)、プリンアナログ(例えば、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)およびチアグアニン(thiaguanine))、ピリミジンアナログ(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフール(emitefur)、エノシタビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビンおよびテガフール)フルオシノロン、トリアムシノロン(triaminolone)、酢酸アネコルタブ、フルオロメトロン、メドリゾン、プレドニゾロン(prednislone)などのうちの1つ以上を含み得る。] [0100] 抗炎症剤は、例えば、NSAIDs、インターロイキン−1アンタゴニスト、ジヒドロオロテートシンターゼ(dihydroorotate synthase)インヒビター、p38MAPキナーゼインヒビター、TNF−αインヒビター、TNF−α隔離剤(sequestration agents)およびメトトレキサートのうちの1つ以上を含み得る。より詳細には、抗炎症剤は、例えば、抗TNF−α、リソフィリン(lysophylline)、アルファ1−抗トリプシン(AAT)、インターロイキン−10(IL−10)、ペントキシフィリン(pentoxyfilline)、COX−2インヒビター、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド(budesonide)、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト(fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン(fluocortin)ブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル(formocortal)、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、アミノアリールカルボン酸誘導体(例えば、エンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマート、トルフェナム酸)、アリール酢酸誘導体(例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマック、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン(oxametacine)、ピラゾラク(pirazolac)、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン(tropesin)、ゾメピラク)、アリール酪酸誘導体(例えば、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン)、アリールカルボン酸(例えば、クリダナク、ケトロラク、チノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロレン(piketoprolen)、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン)、ピラゾール(例えば、ジフェナミゾール、エピリゾール)、ピラゾロン(例えば、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリノブタゾン)、サリチル酸誘導体(例えば、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート(benorylate)、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン(morpholin salicylate)、1−ナフチルサリチレート、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo−酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、スルファサラジン)、チアジンカルボキサミド(例えば、アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム)、.イプシロン.−アセトアミドカプロン酸、s−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、α−ビサボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール(fepradinol)、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、プロカゾン(proquazone)、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダプ、ジロートン(zileuton)、カンデリラろう、アルファビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(Manjistha)、グガール(Guggal)、コラ抽出物、カモミール、ムチサンゴ(sea whip)抽出物、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸、油溶性カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸一カリウム、グリチルリチン酸二カリウム、1−ベータ−グリシルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルおよび3−ステアリルオキシ−グリシルレチン酸、3−スクシニルオキシ−ベータ−グリチルレチン酸二ナトリウムなどのうちの1つ以上を含み得る。] [0101] Treg表現型の促進および維持を助ける作用物質は、例えば、oATP、TGF−ベータ、レチノイン酸、ラパマイシン、5−アザシチジンおよびトリコスタチンAの1つ以上を含み得る。] [0102] 対象の組成物および方法は、他のT細胞共刺激経路の調節(例えば、CD28、ICOS、PD−1、CTLA−4および/またはBTLAの調節)に基づいて、免疫療法と相乗的に組み合わされ得ることがさらに企図される。] [0103] 薬学的処方物 本発明の方法は、治療薬のみの投与を含み得るが、好ましくは、経口投与のための錠剤、カプセルまたはエリキシル剤、直腸投与のための坐剤、非経口または筋肉内投与のための無菌の溶液または懸濁液、リポソーム処方物またはカプセル化処方物、治療薬が単独であるかまたは送達剤もしくはビヒクルに結合体化されている処方物などを含む公知の薬学的処方物による投与を含み得る。] [0104] そのような処方物は、標準的および/または一般に認められた薬務に従って調製され得る。] [0105] 本発明の治療実体は、適当なキャリア、賦形剤、および/または移行、送達、寛容などの改善をもたらす処方物に組み込まれた他の作用物質とともに投与され得ることが認識されるだろう。多数の適切な処方物が、すべての製薬化学者に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences(15th ed,Mack Publishing Company,Easton,PA(1975))、特に、その中のBlaug,SeymourによるChapter87に見られ得る。これらの処方物としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ろう、油、脂質、脂質(陽イオン性または陰イオン性)含有ベシクル(例えば、LipofectinTM)、DNA結合体、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックスを含む半固体混合物が挙げられる。処方物中の活性成分が、その処方物によって不活性化されず、その処方物が、生理的に適合性であり、かつ投与経路に対して容認できるならば、前述の混合物のいずれもが、本発明に記載の処置および治療において適切であり得る。Powellら、“Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol 52:238−311(1998)、ならびに製薬化学者に周知の賦形剤およびキャリアに関する追加情報についてのその中の引用もまた参照のこと。] [0106] 1つの実施形態において、治療薬は、局所用処方物として投与される。局所用の投与形態は、例えば、水性および非水系のゲル、クリーム、多重エマルジョン、マイクロエマルジョン、リポソーム、軟膏、水溶液および非水溶液、ローション、エアロゾル、皮膚パッチ、炭化水素基剤および粉末からなり得、賦形剤(例えば、可溶化剤、透過促進剤(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコールおよびアミノ酸)および親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィルおよびポリビニルピロリドン))を含み得る。1つの実施形態において、薬学的に許容可能なキャリアは、リポソームまたは経皮促進剤である。] [0107] 本発明の局所用処方物は、皮膚科学的に許容可能なキャリア、例えば、それらの成分の許容可能な適用または皮膚による吸収によってその処方物の他の成分を皮膚に送達することができる物質を含み得る。そのキャリアは、代表的には、治療薬、および必要に応じて、1つ以上の賦形剤または他のビヒクル成分を溶解するかまたは分散する溶媒を含む。本発明の局所用処方物に従って有用なキャリアは、非限定的な例として、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、アクリレート共重合体、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、バター、アロエ、タルク、植物の油、植物のジュース、植物の抽出物、植物の粉末、他の植物の誘導体、ラノリン、尿素、石油調製物、タール調製物、植物または動物の脂肪、植物または動物の油、石けん、トリグリセリドおよびケラチンが挙げられ得る。本発明の局所用処方物は、当該分野において周知の方法、例えば、標準的な参照テキスト、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,1577−1591,1672−1673,866−885(Alfonso R.Gennaro ed.19th ed.1995);およびGhoshら、Transdermal and Topical Drug Delivery Systems(1997)に提供されている方法に従って、本発明の化合物を局所用キャリアと混合することによって調製される。] [0108] さらに、所望であれば、保湿剤もしくは湿潤剤、遮光剤、芳香、色素および/または増粘剤(例えば、パラフィン、ホホバ、PABAおよびろう)、界面活性物質、閉塞剤(occlusives)、吸湿剤、乳化剤、軟化薬、脂質を含まないクレンザー(lipid−free cleanser)、酸化防止剤ならびに親油性剤が、本発明の局所用処方物に加えられ得る。] [0109] 本発明の局所用処方物は、皮膚上に残留したままであるように、および適用後すぐに洗浄されないように、設計され得る。あるいは、局所用処方物は、適用後、所与の長さの時間内に洗い流されるように設計され得る。] [0110] 送達方法 本発明の方法は、薬学的に許容可能な剤形における、任意の望ましい手段による、例えば、経口的、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、消化器(alimentarily)、脊髄内、関節腔内(intra−articularly)、関節内(intra−joint)、皮下、頬側、膣、直腸、皮膚、経皮的、眼、耳、粘膜、鼻、気管、気管支、舌下、結節内にか、任意の非経口経路によるか、または吸入を介した、単独で、または組成物の形態での、治療薬の投与を含み得る。] [0111] 1つの実施形態において、治療薬は、その治療活性の部位、例えば、リンパ節に直接投与される。例えば、治療薬は、リンパ節に直接注射され得る。T細胞依存性の活性化のインヒビターの結節内注射に対する好ましいリンパ節は、鼠径部、腋下および頸部の領域に位置する主要なリンパ節である。別の実施形態では、治療薬は、その治療活性の部位に対して遠位に投与される。] [0112] 1つの実施形態において、治療薬は、局所的に投与される。ある特定のこれらの実施形態において、治療薬は、皮膚科学的状態を処置するために局所的に投与される。適用される局所用処方物の量は、例えば、最終的な組成物の意図される用法、すなわち、維持レジメンに対する治療レジメン、および処方物に対する個別の被験体の感度に依存するが、1つの実施形態において、本発明の局所用処方物は、罹患した身体部分に一定間隔で適用される。ある特定の実施形態において、組成物は、所望の効果が達成されるまで、処置の初期段階の間は、より頻繁に適用され、そして維持が望まれるようになると、より低い頻度で適用される。] [0113] 本発明の局所用処方物は、様々な方法によって適用され得る。1つの実施形態において、処方物は、炎症を起こしている皮膚の領域に適用される。次いで、その処方物が均等に分配されるかまたは消えるまで、その領域をマッサージするか、または擦る。このプロセスは、1日に1、2、3、4、5、6回またはそれ以上、繰り返され得る。別の方法では、局所用処方物は、皮膚パッチに適用され、次いで、それを皮膚の患部の上に30分間から数時間、数日間、数週間またはそれ以上にわたって乗せる。別の実施形態では、本発明の局所用処方物は、イオン導入を用いて患部に送達される。この方法では、局所用処方物は、電極に接続された容器またはパッチに入れられている。次いで、その容器を患部の上に置き、電極を活性化させる。これにより電流が発生し、その電流が電気的な反発によって皮膚を通って局所用処方物を送達する。] [0114] 皮膚を通って本発明の局所用処方物を送達するための他の適当な方法としては、フォノフォレーシスおよびセロハン包装が挙げられる。フォノフォレーシスでは、まず、局所用処方物を皮膚上の患部に適用する。次いで、超音波装置を患部の上に置く。その装置は、いったん活性化されると、超音波エネルギーによって皮膚を通って処方物を送達する。セロハン包装では、処方物を患部に適用し、そして概ね数分から数時間、数日間、数週間または数カ月、セロハンフィルムで覆う。] [0115] 本発明の1つの実施形態において、本発明の1つ以上の作用物質は、送達用のナノ粒子にナノカプセル化される。ナノカプセル化材料は、生分解性であってもよいし、非分解性であってもよい。ナノカプセル化材料は、合成のポリマー、天然ポリマー、オリゴマーまたはモノマーから作製され得る。合成のポリマー、オリゴマーおよびモノマーとしては、ポリアルキレンオキシド前駆体分子(例えば、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)およびポリ(プロピレンオキシド)との共重合体(PEG−co−PPO)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチルオキサゾリン)(PEOX)、ポリアミノ酸およびプソイドポリアミノ酸(pseudopolyamino acid))から得られるもの、ならびにこれらのポリマーの共重合体が挙げられる。Sawhneyら、Macromolecules 26:581−587(1993)。結合体が水溶性であるならば、共重合体は、他の水溶性ポリマーまたは水不溶性ポリマーを用いても形成され得る。水溶性の結合体の例は、Pluronic.TM.界面活性物質(BASF)として市販されている、ポリエチレングリコールとポリプロピレンオキシドとのブロック共重合体である。] [0116] 天然のポリマー、オリゴマーおよびモノマーとしては、タンパク質、例えば、フィブリノゲン、フィブリン、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ゼインおよびアルブミン(これらは、天然の供給源から生成されるか、組換えの供給源から生成されるかに関係ない)、および多糖、例えば、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、キトサン、ジェランガム(gellan gum)、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体およびカラギーン(carrageen)が挙げられる。これらのポリマーは、利用することができるナノカプセル化材料の単なる例示的なタイプであって、封入が可能なすべてのナノカプセル化材料を表すと意図されない。] [0117] 「放出制御」とは、組成物または剤形からの薬などの作用物質の放出のことを指し、ここで、その作用物質は、長時間にわたって所望のプロファイルに従って放出される。放出制御プロファイルとしては、例えば、徐放、持続放出、パルス放出および遅延放出のプロファイルが挙げられる。放出制御組成物は、即時放出組成物とは対照的に、所定のプロファイルに従って長時間にわたる被験体への作用物質の送達を可能にする。そのような放出速度は、従来の迅速な放出剤形と比べて、長時間にわたって治療的に有効なレベルの作用物質を提供することができ、それにより、長期間の薬理学的または診断的な応答を提供することができる。そのようなより長い応答期間は、対応する短時間作用性の即時放出調製物によって達成されない多くの固有の利点を提供する。例えば、慢性疼痛の処置では、放出制御処方物が、従来の短時間作用性の処方物よりも非常に好ましいことが多い。] [0118] 放出制御の薬学的組成物および剤形は、作用物質(例えば、薬、薬物、活性な作用物質、診断用の作用物質、またはヒトを含む動物に内部的に投与される任意の物質)の送達プロファイルを改善するように設計される。代表的には、放出制御組成物を使用することにより、送達動態が最適化され、それにより、バイオアベイラビリティ、利便性および患者のコンプライアンスが上昇し、ならびに速い初期放出速度などの不適切な即時放出速度、および望まれない場合は不均等な血中レベルまたは組織内レベルに関連する副作用を最小にすることによって、投与される物質の効果が改善される。] [0119] 活性な化合物の放出制御をもたらす組成物の調製および使用の従来技術の教示は、投与後の薬の放出を延長するための様々な手法を提供する。当該分野で公知の例示的な放出制御処方物としては、特別にコーティングされた小丸剤、微小粒子、ナノ粒子、埋没物、錠剤、ミニ錠剤(minitabs)およびカプセルが挙げられ、ここで、薬の放出制御は、例えば、調製物のコーティングの選択的な崩壊、コーティングを通る放出、薬の放出に影響する特殊なマトリックスとの混合、またはこれらの手法の組み合わせによってもたらされる。いくつかの放出制御処方物は、投与後の所定の期間において活性な化合物の単一用量のパルス放出をもたらす。] [0120] 1つの実施形態において、T細胞依存性の免疫応答を調節する少なくとも1つの作用物質を含む放出制御処方物は、特定の細胞型または組織に対して標的化される。これは、米国特許公開番号2007/0190160に記載されているように、その処方物が標的細胞内などの所望の標的部位に曝露されるまで、それをインビボまたはインビトロ(例えば、細胞培養またはエキソビボ)において外側から介入される恐れがないように、例えば、標的薬/標的物質を放出制御処方物に結合することによって達成され得る。好ましい実施形態において、放出制御処方物は、被験体のリンパ節に対して標的化される。別の好ましい実施形態では、放出制御処方物は、移植片(例えば、移植された臓器)もしくは埋没物(例えば、生物学的材料を含む埋め込まれたデバイス)の部位に対して、またはそれらの近傍に対して、標的化される。] [0121] 本発明の方法は、様々な用量で治療薬を投与する工程を包含し得る。経口、肺および局所用の投薬量は、約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)〜約100mg/kg/日、好ましくは、約0.01〜約10mg/kg/日、より好ましくは、約0.1〜約5.0mg/kg/日に及び得る。例えば、経口投与の場合、組成物は、代表的には、約0.01mg〜約500mg、好ましくは、約1mg〜約100mgの活性成分を含む。静脈内の場合、最も好ましい用量は、一定速度の注入における約0.001〜約10mg/kg/時に及び得る。好都合なことに、治療薬は、単回の1日量として投与されてもよいし、1日の合計投薬量が、1日に2、3または4回の分割量として投与されてもよい。ある特定の実施形態において、作用物質は、当業者によって適当であると判断されるとき、1、2、3または4週間、2ヶ月、3ヶ月、1年、2年、数年またはそれ以上にわたって投与される。] [0122] 本発明の方法によって分化したおよび/または増大されたTreg細胞は、被験体における免疫機能の抑制に有用である。特に、自己細胞が、単離され得;インビトロにおいて改変、分化および/または増大され得;続いて、被験体に投与または再移植され得る。治療有効量のTreg細胞が、薬学的に許容可能なキャリアとともに投与され得る。投与経路としては、経口、直腸、膣、頬側、局所的、経鼻、皮膚、経皮的、気管、舌下、結節内、非経口、静脈内、腹腔内注射、鼻腔内吸入、肺吸入、皮下、眼(ophthamlic)、粘膜、耳介、関節内および髄腔内の経路、ならびに消化管を介する(例えば、パイエル板を介する)経路を含むがこれらに限定されない任意の適当な手段が挙げられ得る。局所的な投与経路としては、関節内、筋肉内および髄腔内投与、ならびに膵臓に流れ出る脈管(例えば、前および後膵十二指腸動脈)を介する投与が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明のTreg細胞、およびそれらの細胞を含む薬学的組成物は、筋肉内、腹腔内もしくは静脈内注射によって、または患者のリンパ節への直接的な注射によって、被験体に投与される。例示的な実施形態において、Treg細胞は、炎症部位に局所的に投与される。選択される投与経路は、特定の処置に依存し得る。それらの細胞は、用量を設定するために、単回用量で、または選択された時間間隔における数回の用量で、投与され得る。ある特定の実施形態において、104/kg〜109/kgの処理細胞、好ましくは、105/kg〜107/kgの細胞、より好ましくは、約106/kgの細胞が、被験体に投与される。それらの細胞は、1回で、または例えば、12、24、48、72または96時間にわたって;例えば、1週間、10日間、2週間、1ヶ月、3ヶ月もしくは6ヶ月という長期間にわたって;またはその投与が治療的に有益である限りずっと、投与され得る。] [0123] 移植の場合、Treg細胞は、レシピエント細胞を用いてアロ活性化され(alloactivated)得る。好ましい実施形態において、Treg細胞は、移植手術より前に、インビトロにおいて分化し、そして/または増大され、移植片対宿主病を処置するためまたは予防するために、手術中に投与される。ある特定の実施形態において、Treg細胞は、放出制御機構(例えば、人工的なゲルまたは凝固した血漿)を用いて投与される。] [0124] いくつかの実施形態において、Treg細胞は、免疫応答を引き起こす事象(例えば、輸血または移植)を予想して被験体に投与される。この場合、制御性T細胞が、例えば、輸血の1週間前または6、5、4、3、2もしくは1日前または12時間未満前、4時間未満前、または2時間未満前に、投与され得る。] [0125] いずれにしても、医師、すなわち当業者は、個別の患者にとって最も適当である実際の投薬量を決定することができ、その投薬量は、投与経路、処置される状態のタイプおよび重症度、ならびに処置される特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能および応答によって変動する可能性がある。上述の投薬量は、平均的な場合の例であり;当然のことながら、より多いまたは少ない投薬量の範囲が正当である個別の場合が存在し得、そのような場合は、本発明の範囲内である。] [0126] 本発明がよりよく理解され得るように、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示のみの目的であって、いかなる様式においても本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。] [0127] 実施例1:crt−/−T細胞内の、ERにおけるCa2+の減少およびミトコンドリアのCa2+取り込みの増加 以前の研究から、CRTの発現レベルが、ER内に貯蔵されているCa2+の量と直接相関することが示されている(Pintonら、EMBO J 20:2690−2701(2001);Arnaudeauら、J Biol Chem 277:46696−46705(2002))。本発明者らは、CRTが、オバルブミンペプチド323−339(OVAp)に特異的なCD4+T細胞クローンにおいて類似の機能を発揮するか否かを調査した。これらのクローンは、crt+/+またはcrt−/−のDO.11.10TCRトランスジェニック胚由来の造血前駆細胞を用いて作製されたFLCから得られた(Porcelliniら、J Exp Med 203:461−471(2006))。細胞にCa2+指示薬のFura−2を負荷し、細胞外カルシウムの非存在下において、筋小胞体Ca2+ATPアーゼ(SERCA)のインヒビターであるタプシガルジンを用いてその細胞を刺激した。ERからの受動的なCa2+漏出によってもたらされるゆっくりとしたサイトゾルCa2+の増加の定量化によって、crt−/−細胞内のERのCa2+含有量がcrt+/+細胞と比べて20%減少したことが示された(図2A)。] 図2A [0128] 細胞を刺激した後のCa2+の増加は、ミトコンドリアによって感知され、それにより、サイトゾルCa2+を緩衝することによってCa2+シグナル伝達が制御される(Rizzuto and Pozzan,Physiol Rev 86:369−408(2006))。本発明者らは、T細胞内のミトコンドリアのCa2+取り込みがcrt欠失によって影響されるか否かを調べた。本発明者らは、Ca2+非含有培地中においてタプシガルジンを用いてCa2+の貯蔵を枯渇させた後、0.5mM Ca2+を加えることによって、crt−/−およびcrt+/+T細胞においてCCEを誘導した。細胞外Ca2+を十分に洗い流した後、Ca2+イオノフォアのイオノマイシンを加えることにより、CCE時にミトコンドリアに蓄積されていたCa2+が放出された(Hothら、J Cell Biol 137:633−648(1997))。図1Aは、Ca2+が、crt+/+細胞よりもcrt−/−細胞内に多く蓄積したが、CCE中のサイトゾルのカルシウム増加の振幅は、これらの2つの細胞型において似ていたことを示している。0.5mM Ca2+を加える前にイオノマイシン(ionomyin)を加えた場合は、crt−/−T細胞とcrt+/+T細胞の間に差は観察されなかったことから(図示せず)、Ca2+が、CCE中にミトコンドリア内に蓄積されたことが示唆される。このことから、crt−/−細胞における恒常的なミトコンドリアのCa2+過負荷が排除される。Ca2+貯蔵が枯渇した後の細胞外カルシウム濃度の増加は、crt+/+においてミトコンドリアのカルシウム取り込みの増加と平行したが、crt−/−細胞では平行しなかった(図1B)。実際に、ミトコンドリアの緩衝作用は、crt−/−T細胞において0.5〜2mMの細胞外Ca2+の範囲内で一定のままだった。] 図1A 図1B
权利要求:
請求項1 少なくとも1つのT細胞活性を阻害するための薬物を製造するための、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質の使用。 請求項2 前記T細胞活性が:活性化、増殖、分化、生存、細胞溶解活性およびサイトカイン産生からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。 請求項3 ATP媒介性T細胞活性化を阻害する前記作用物質が、P2Xレセプターアンタゴニストである、請求項1に記載の使用。 請求項4 前記作用物質が、oATPである、請求項3に記載の使用。 請求項5 ATP媒介性T細胞活性化を阻害する前記作用物質が、パネキシンヘミチャネルの機能を阻害する作用物質である、請求項1に記載の使用。 請求項6 前記作用物質が、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項5に記載の使用。 請求項7 T細胞アネルギーを誘導するための薬物を製造するための、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質の使用。 請求項8 前記作用物質が、oATPである、請求項7に記載の使用。 請求項9 T細胞アネルギーを誘導するための薬物を製造するための、パネキシンヘミチャネルの機能を阻害する作用物質の使用。 請求項10 前記作用物質が、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドである、請求項9に記載の使用。 請求項11 前記T細胞が、IL−17分泌T細胞である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。 請求項12 細胞死または組織損傷を処置するための薬物を製造するための、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質の使用。 請求項13 免疫状態または炎症状態を処置するための薬物を製造するための、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質の使用。 請求項14 前記免疫状態または炎症状態が、Tリンパ球依存性の炎症状態である、請求項13に記載の使用。 請求項15 前記Tリンパ球依存性の炎症状態が、I型糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチおよび乾癬から選択される、請求項14に記載の使用。 請求項16 前記Tリンパ球依存性の炎症状態が、移植片拒絶または移植片対宿主病である、請求項14に記載の使用。 請求項17 前記Tリンパ球依存性の炎症状態が、皮膚科学的状態である、請求項14に記載の使用。 請求項18 前記皮膚科学的状態が、乾癬、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、円形脱毛症、白斑、薬物関連皮疹、接触過敏症、エリテマトーデス、痘瘡状苔癬状粃糠疹、慢性苔癬状粃糠疹、湿疹および扁平苔癬から選択される、請求項17に記載の使用。 請求項19 前記薬物が、インビボ投与のために製剤化されている、請求項12〜18のいずれか1項に記載の使用。 請求項20 前記作用物質が、ナノカプセルの中に封入されている、請求項19に記載の使用。 請求項21 前記薬物が、結節内投与のために製剤化されている、請求項19に記載の使用。 請求項22 前記薬物が、局所的投与のために製剤化されている、請求項19に記載の使用。 請求項23 哺乳動物の前駆細胞をTreg細胞に分化させることを促進するための薬物を製造するための、oATPを含む組成物の使用。 請求項24 oATPを含む前記組成物が:(a)T細胞の一次刺激物質;(b)細胞成分;および(c)可溶性メディエーターのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項23に記載の使用。 請求項25 前記T細胞の一次刺激物質が、T細胞レセプターに結合するリガンドおよびプロテインキナーゼCアクチベーターから選択される1つ以上の作用物質を含む、請求項24に記載の使用。 請求項26 前記T細胞の一次刺激物質が、抗CD3抗体である、請求項25に記載の使用。 請求項27 前記細胞成分が、照射された脾細胞、動員された細胞産物、白血球フェレーシス細胞産物、腸骨稜細胞産物および/または椎体から選択される、請求項24に記載の使用。 請求項28 前記細胞成分が、照射された同系脾細胞である、請求項27に記載の使用。 請求項29 前記可溶性メディエーターが、レチノイン酸、ラパマイシン、5−アザシチジン、トリコスタチンA、アルファ1−抗トリプシン、TGF−ベータ、インターロイキン(IL)−2)、CD80、4−1BB、CD52アゴニスト、CD28抗体、リンパ球機能関連抗原−3(LFA−3)、CD2、CD40、CD80/B7−1、CD86/B7−2、OX−2、CD70およびCD82から選択される、請求項24に記載の使用。 請求項30 前記組成物が、oATP、T細胞の一次刺激物質および細胞成分を含む、請求項24に記載の使用。 請求項31 前記組成物が、oATP、抗CD3抗体および照射された同系脾細胞を含む、請求項30に記載の使用。 請求項32 インビトロにおいて制御性T(Treg)細胞の増大を促進するための方法であって、該Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項33 oATPを含む前記組成物が:(a)T細胞の一次刺激物質;(b)細胞成分;および(c)可溶性メディエーターのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項32に記載の方法。 請求項34 前記T細胞の一次刺激物質が、T細胞レセプターに結合するリガンドおよびプロテインキナーゼCアクチベーターから選択される1つ以上の作用物質を含む、請求項33に記載の方法。 請求項35 前記T細胞の一次刺激物質が、抗CD3抗体である、請求項34に記載の方法。 請求項36 前記細胞成分が、照射された脾細胞、動員された細胞産物、白血球フェレーシス細胞産物、腸骨稜細胞産物および/または椎体から選択される、請求項33に記載の方法。 請求項37 前記細胞成分が、照射された同系脾細胞である、請求項36に記載の方法。 請求項38 前記可溶性メディエーターが、レチノイン酸、ラパマイシン、5−アザシチジン、トリコスタチンA、アルファ1−抗トリプシン、TGF−ベータ、インターロイキン(IL)−2)、CD80、4−1BB、CD52アゴニスト、CD28抗体、リンパ球機能関連抗原−3(LFA−3)、CD2、CD40、CD80/B7−1、CD86/B7−2、OX−2、CD70およびCD82から選択される、請求項33に記載の方法。 請求項39 前記組成物が、oATP、T細胞の一次刺激物質および細胞成分を含む、請求項33に記載の方法。 請求項40 前記組成物が、oATP、抗CD3抗体および照射された同系脾細胞を含む、請求項39に記載の方法。 請求項41 インビボにおいて制御性T(Treg)細胞の増大を促進するための薬物を製造するための、oATPを含む組成物の使用。 請求項42 細胞死または組織損傷を処置するための薬物を製造するための、請求項32〜41のいずれか1項に記載の増大されたTreg細胞の使用。 請求項43 免疫状態または炎症状態を処置するための薬物を製造するための、請求項32〜41のいずれか1項に記載の増大されたTreg細胞の使用。 請求項44 前記免疫状態または炎症状態が、Tリンパ球依存性の炎症状態である、請求項43に記載の使用。 請求項45 前記Tリンパ球依存性の炎症状態が、マスト細胞の脱顆粒に関連する状態である、請求項44に記載の使用。 請求項46 マスト細胞の脱顆粒に関連する前記状態が、喘息、アレルギーおよびアナフィラキシーショックから選択される、請求項45に記載の使用。 請求項47 前記免疫状態または炎症状態が、自己免疫性状態、移植片拒絶または移植片対宿主病である、請求項43に記載の使用。 請求項48 Treg細胞を必要とする被験体を処置するための薬物を製造するための、請求項32〜41のいずれか1項に記載の増大されたTreg細胞の使用。 請求項49 インビトロにおいてTreg細胞を非Treg細胞に変換することを阻害するための方法であって、該Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項50 前記非Treg細胞が、病原性T細胞である、請求項49に記載の方法。 請求項51 前記病原性T細胞が、Th17細胞である、請求項50に記載の方法。 請求項52 インビトロにおいて非Treg細胞をTreg細胞に変換するための方法であって、該非Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項53 前記非Treg細胞が、病原性T細胞である、請求項52に記載の方法。 請求項54 前記病原性T細胞が、Th17細胞である、請求項53に記載の方法。 請求項55 インビトロにおいてTreg細胞の活性を増強するための方法であって、該Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項56 前記活性が、免疫抑制性の活性である、請求項55に記載の方法。 請求項57 インビボにおいてTreg細胞を非Treg細胞に変換することを阻害するための薬物を製造するための、oATPを含む組成物の使用。 請求項58 インビボにおいて非Treg細胞をTreg細胞に変換するための薬物を製造するための、oATPを含む組成物の使用。 請求項59 インビボにおけるTreg細胞の活性を増強するための薬物を製造するための、oATPを含む組成物の使用。 請求項60 前記oATPが、ナノカプセルの中に封入されている、請求項57〜59のいずれか1項に記載の使用。 請求項61 前記被験体が、細胞死または組織損傷を有する、請求項57〜59のいずれか1項に記載の使用。 請求項62 前記被験体が、免疫状態または炎症状態を有する、請求項57〜59のいずれか1項に記載の使用。 請求項63 前記免疫状態または炎症状態が、自己免疫性状態、移植片拒絶または移植片対宿主病である、請求項62に記載の使用。 請求項64 前記免疫状態または炎症状態が、炎症性腸疾患である、請求項62に記載の使用。 請求項65 前記免疫状態または炎症状態が、Tリンパ球依存性の炎症状態である、請求項62に記載の使用。 請求項66 前記Tリンパ球依存性の炎症状態が、マスト細胞の脱顆粒に関連する状態である、請求項65に記載の使用。 請求項67 マスト細胞の脱顆粒に関連する前記状態が、喘息、アレルギーおよびアナフィラキシーショックから選択される、請求項66に記載の使用。 請求項68 前記薬物が、経口的、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、消化器、脊髄内、関節腔内、関節内、皮下、頬側、膣、直腸、皮膚、経皮的、眼、耳、粘膜、鼻、気管、気管支、舌下、結節内にか、任意の非経口経路によってか、または吸入を介して、投与するために製剤化されている、請求項1、7、9、12、13、23、41および57〜59のいずれか1項に記載の使用。 請求項69 前記薬物が、経口的、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、消化器、脊髄内、関節腔内、関節内、皮下、頬側、膣、直腸、皮膚、経皮的、眼、耳、粘膜、鼻、気管、気管支、舌下、結節内にか、任意の非経口経路によってか、または吸入を介して、投与するために製剤化されている請求項48に記載の使用。 請求項70 少なくとも1つのT細胞活性を阻害するための方法であって、T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程を包含する、方法。 請求項71 T細胞アネルギーを誘導するための方法であって、T細胞を、パネキシンヘミチャネルの機能を阻害する作用物質と接触させる工程を包含する、方法。 請求項72 細胞死または組織損傷を処置するための方法であって、T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程を包含する、方法。 請求項73 免疫状態または炎症状態を処置するための方法であって、T細胞を、ATP媒介性T細胞活性化を阻害する作用物質と接触させる工程を包含する、方法。 請求項74 哺乳動物の前駆細胞をTreg細胞に分化することを促進するための方法であって、Treg細胞に分化することができる細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項75 制御性T(Treg)細胞の増大を促進するための方法であって、該Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項76 Treg細胞を非Treg細胞に変換することを阻害するための方法であって、該Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項77 非Treg細胞をTreg細胞に変換するための方法であって、該非Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。 請求項78 Treg細胞の活性を増強するための方法であって、該Treg細胞を、oATPを含む組成物と接触させる工程を包含する、方法。
类似技术:
公开号 | 公开日 | 专利标题 Chen et al.2014|An osteopontin‐integrin interaction plays a critical role in directing adipogenesis and osteogenesis by mesenchymal stem cells Chen et al.2013|Adoptive transfer of human gingiva‐derived mesenchymal stem cells ameliorates collagen‐induced arthritis via suppression of Th1 and Th17 cells and enhancement of regulatory T cell differentiation AU2013329083C1|2018-11-08|Enhancement of the immune response US10500157B2|2019-12-10|Nanoparticle-mediated delivery of cytokines for maintenance of the regulatory T cell phenotype Franquesa et al.2012|Immunomodulatory effect of mesenchymal stem cells on B cells Hur et al.2016|CD82/KAI1 maintains the dormancy of long-term hematopoietic stem cells through interaction with DARC-expressing macrophages Tran et al.2013|Blockade of individual Notch ligands and receptors controls graft-versus-host disease Evans et al.2007|Novel suppressive function of transitional 2 B cells in experimental arthritis Arens et al.2010|Plasticity in programming of effector and memory CD8+ T‐cell formation Romieu-Mourez et al.2007|Regulation of MHC class II expression and antigen processing in murine and human mesenchymal stromal cells by IFN-γ, TGF-β, and cell density Tasso et al.2012|Mesenchymal stem cells induce functionally active T-regulatory lymphocytes in a paracrine fashion and ameliorate experimental autoimmune uveitis Chen et al.2003|IL-10 and TGF-β induce alloreactive CD4+ CD25–T cells to acquire regulatory cell function Bogdanos et al.2013|Liver immunology Cutler et al.2017|Mechanistic approaches for the prevention and treatment of chronic GVHD Sánchez–Fueyo et al.2011|Immunologic basis of graft rejection and tolerance following transplantation of liver or other solid organs Sega et al.2014|Role of lymphocyte activation gene-3 | in conventional and regulatory T cell function in allogeneic transplantation Chakraverty et al.2007|The role of antigen-presenting cells in triggering graft-versus-host disease and graft-versus-leukemia Rahman et al.2009|The contribution of direct TLR signaling to T cell responses US20190022199A1|2019-01-24|Inducible regulatory t-cell generation for hematopoietic transplants Murphy et al.2011|Innate immunity in transplant tolerance and rejection Vogelsang et al.2003|Pathogenesis and treatment of graft-versus-host disease after bone marrow transplant JP2017095516A|2017-06-01|Adherent cells derived from adipose tissue or placental tissue and their use in therapy Salomon et al.1998|Three populations of mouse lymph node dendritic cells with different origins and dynamics Sun et al.2007|Pathophysiology of acute graft-versus-host disease: recent advances Diehl et al.2002|In vivo triggering through 4-1BB enables Th-independent priming of CTL in the presence of an intact CD28 costimulatory pathway
同族专利:
公开号 | 公开日 EP2279030A2|2011-02-02| WO2009114097A3|2010-07-01| CA2717166A1|2009-09-19| CN101998864A|2011-03-30| WO2009114097A2|2009-09-17| US20110076258A1|2011-03-31| AU2009223850A1|2009-09-17| WO2009114097A4|2010-09-02| TW200942246A|2009-10-16|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2012-06-05| A300| Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120605 |
优先权:
[返回顶部]
申请号 | 申请日 | 专利标题 相关专利
Sulfonates, polymers, resist compositions and patterning process
Washing machine
Washing machine
Device for fixture finishing and tension adjusting of membrane
Structure for Equipping Band in a Plane Cathode Ray Tube
Process for preparation of 7 alpha-carboxyl 9, 11-epoxy steroids and intermediates useful therein an
国家/地区
|